2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791203
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鶴丸 大介 九州大学, 大学病院, 医員 (90419565)
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Keywords | 食道癌 / CT |
Research Abstract |
食道癌のCTでの診断精度は低く(50~80%)、これは食道が虚脱した状態で撮影されることが最大の原因である。食道癌の進行度診断は治療に直結しており、誤った術前診断により適切な治療が受けられないケースが少なからず存在する。一方、食道を伸展させた状態でCT撮影を行えば、正診率は向上すると報告されている。 以上の背景から本研究は、食道を伸展させうる経口造影剤が作成可能か、ブタ食道を用いた実験によって検討することを目的とした。 本研究では、食道CT用の至適造影剤の作成とブタ食道を用いたCT撮像の実験を以下の行程で行った。 1.経口造影剤として硫酸バリウムととろみ調整食品の混合溶液を種々の濃度で作成。 2.食道疑似腫瘍は内視鏡的にピアルロン酸を局注し作成。 3.それぞれのブタ食道内に種々の造影剤を注入し、CTを撮像。 4.撮像画像を横断像、縦断像にて視覚的に評価。 以上の実験を施行した。結果、5%~10%の硫酸バリウムととろみ調整食品の混合溶液の使用によりブタ食道の十分な伸展と均一な内腔描出が認められた。食道腫瘍部においても同様の結果であった。 この実験結果から、本研究で作成した造影剤は食道CT用の経口造影剤として使用できる可能性が示唆された。ただし、臨床応用(人体に使用)するためには、嚥下による造影剤の移動、静脈性ヨード造影剤による造影CTでの描出能を検討する必要がある。また製品化も念頭に置けば、硫酸バリウムととろみ調整食品の混合が適用として認められるか否かも確認する必要がある。これら諸問題をクリアすれば、本研究で作成した造影剤が食道CT用経口造影剤として使用可能となり、食道癌の術前診断を向上させる手法として確立するものと思われる。
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