2011 Fiscal Year Annual Research Report
陽子線治療における装置および患者から発生する中性子線量の弁別
Project/Area Number |
22791209
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
藤淵 俊王 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (20375843)
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Keywords | 陽子線治療 / 中性子 / 線量分布 |
Research Abstract |
陽子線治療において,陽子線とビームラインや患者との相互作用によって生じる2次中性子の患者体内での分布や挙動の評価は,治療精度および放射線誘発がんのリスク評価の観点から注目されている。患者に寄与する中性子は,陽子線と装置本体の相互作用によるものと,陽子線が患者に衝突することにより体内で発生するものの2種類が考えられる。平成22年度に作成した高感度熱中性子検出器を用いて、平成23年度はは陽子線治療場で発生する水ファントム表面での中性子分布の測定、ならびにモンテカルロ計算による装置および陽子線を照射した水ファントムからの中性子エネルギースペクトルや中性子線量の評価を行った。 評価の結果、ビーム軸中心から12cmの距離での陽子線治療線量に対する中性子線量はの比は3.6mSv/Gyとなった。1連の陽子線治療を想定し、60Gyを患者に照射したと仮定した場合、中性子による被ばくはその位置において216mSvになる。ICRP2007年勧告で示されている発がんリスクである0.05/Svを直線仮説に当てはめると,1.1%のリスク増加ということになるが,全身の平均線量はより低くなり、リスクも1%以下であるといえる。 本研究において,小型で高感度な熱中性子検出器を開発することにより、陽子線治療時に場を乱すことなく中性子分布をモニタリングすることを可能とした。ファントム実験ではあるもののIP熱中性子検出器は中性子分布の評価に臨床応用可能なことが示された。中性子線量の評価については、今後モンテカルロ計算により個別の患者の陽子線治療計画が行えるようになれば、治療計画の計算結果と実測値を相互に利用することで、実測値を加味した精度の高い中性子線量の評価やリスク評価が可能となり、陽子線治療の品質管理水準のさらなる向上が期待できる。
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Research Products
(3 results)