2010 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血流動態が正常組織の放射線感受性に与える影響の基礎的・臨床的検討
Project/Area Number |
22791226
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
泉 佐知子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (50292602)
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Keywords | 末梢血流動態 / 放射線治療 / レーザー血流計 / 正常組織障害 / 急性有害事象 |
Research Abstract |
放射線による正常組織障害と末梢血流動態との関連性は臨床的には広く示唆されているが、Prospectiveな研究はなされていない。本研究では、非侵襲的かつ簡便な末梢血流量測定により放射線治療による正常組織障害を、事前に予測する手法の確立と機序の解明を目的としている。 末梢血流量は二次元レーザー血流計(オメガゾーン)を用い、照射/非照射部位を同時に、連続的に測定することにより、空間的・時間変化を解析した。まず健常成人の手(爪部・手背)、頸部(左・右・正中)、前胸部、口腔内の血流量の測定を行い、呼吸と血流変化の関係につき確認した。結果、深吸気時には多くの部位で血流量の一時的な増加を認め、その血流変化比(最小血流量/最大血流量)は爪部0.94±0.07手背0.78±0.09、左頸部0.71±0.10右頸部0.77±0.11、頸部正中0.59±0.11、口腔内0.83±0.09であり、爪床では最も呼吸による血流変化が少なく、頸部では血流変化が大きい結論を得た。次にライナックX線を用いた外部照射を施行している症例の血流量を測定した。前述のデータを基に、血流測定は比較的簡便で呼吸による影響を受けにくい爪床と、呼吸による影響を受ける手背を基準とし、照射部位・近傍の非照射部位で行なった。現段階では症例が少なく観察期間は短いが、照射開始後、照射部位の末梢血流量は一時増加し、照射終了後は比較的早期に血流量の低下を認めている。また照射後に肉眼的に急性有害事象である皮膚炎が残存していても、局所血流量が低下している症例では、その後速やかに皮膚炎が改善している例があり、急性有害事象の遷延の有無を予想する先行指標となり得る可能性が示唆された。また、照射部位では呼吸による血流変化は伴いにくい傾向を認めており、晩期有害事象との関連につき検討を行なっている。
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