2011 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血流動態が正常組織の放射線感受性に与える影響の基礎的・臨床的検討
Project/Area Number |
22791226
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
泉 佐知子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (50292602)
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Keywords | 末梢血流動態 / 放射線治療 / レーザー血流計 / 急性有害事象 / 晩期有害事象 / 正常組織障害 |
Research Abstract |
放射線による正常組織障害と末梢血流動態との関連性は臨床的には広く示唆されているが、Prospectiveな研究はなされていない。本研究では、非侵襲的かつ簡便な末梢血流量測定により放射線治療による正常組織障害を、事前に予測する手法の確立と機序の解明を目的としている。二次元レーザー血流計(オメガゾーン)を用い、照射/非照射部位を同時に、連続的に測定することにより、空間的・時間変化を解析した。前年度の研究にて正常組織の血流状態を反映していると考えられた爪床・手背の血流、ならびに照射部位の血流を、高エネルギーX線による外部照射を行っている症例で測定し、その経時的変化、ならびに急性有害事象・晩期有害事象の有無につき検討した。急性有害事象では乳房温存術後症例では皮膚炎、頭頸部癌照射症例では皮膚炎と粘膜炎により判断した。また、晩期有害事象は皮下浮腫と、頭頸部癌照射症例では唾液腺障害を口腔乾燥自覚症状と口腔水分計による定量的計測により検討した。また、数か月から数年の経過を経て出現する晩期有害事象の検討として、胸部照射を以前に施行した症例のうち、有症状の胸水貯留・心嚢液貯留を生じ、治療介入がなされた5症例について、retrospectiveに末梢血流障害の有無を測定した。結果は、急性有害事象では、末梢血流量と皮膚炎・咽頭炎の間には有意な関連は認められなかった。しかし、治療中に高度の乳腺炎を生じた一例では、治療前の血流低下がみられていた。また、晩期有害事象では、皮下浮腫の有無は末梢血流量との関連が示唆された。唾液腺障害に関しては、口腔乾燥の自覚症状と口腔水分計の測定値では相関関係がみられた。しかし、口腔水分計の測定値と関連がみられた因子は、健側耳下腺の平均線量であり、末梢血流量との関連はみられなかった。また、胸水・心嚢液の貯留症例では、末梢血流が比較的不良な傾向はみられたが、今後症例を重ねて検討する必要がある。
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