2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しい陽子線治療装置の照射精度の向上と評価に関する研究
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22791227
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
林 直樹 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 講師 (00549884)
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Keywords | 陽子線治療 / 品質管理 / 照射精度 / 線量計算 |
Research Abstract |
本研究の目的は新しいタイプの陽子線治療装置を用いた陽子線治療における品質管理手法を構築してその照射精度を向上させることであり、平成22年度から24年度までの3カ年での研究計画で本研究の成果を臨床に反映させることを目指す。平成22年度の到達目標は高度計算ワークステーションを構築して陽子線ビームのシミュレーションを行う ことと、陽子線を計測するための検出器の特性を明らかにすることである。 今年度も前年度に引き続き陽子線システムが稼動していないため、陽子線計測に使用するラジオクロミックフィルムおよび3次元ポリマージェル検出器に関してその特性を調査した。次にワークステーションを用いて、陽子線シミュレーションコードGEANT4によってスノートに至るまでの陽子線の振る舞いを計算した。三次元ジェルシステムは前年度の研究結果で陽子線に関しても良好な反応を示すことが分かったが、陽子線治療装置が稼働していないことや、コストがかかることから今年度の詳細な評価は断念した。 ラジオクロミックフィルムに関しては、陽子線に対する反応を調べたところ、光スペクトロスコピーにおいて緑色領域で陽子線ではX線と異なる振る舞いをすることが分かった。実際には緑色領域を利用する頻度は少ないため問題とならないが、三色成分を利用した解析法(Triple channel correction)法では問題となる場合があると推察される。この研究結果は米国医学物理学会、日本放射線腫瘍学会および日本医学物理学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究実施計画は陽子線モンテカルロシミュレーションの実施と実測、および検出器の特性に関する研究の実施と線量分布描写ソフトウェアの開発であり、それらの研究成果を国内外の学会で発表することであった。我々はワークステーションを用いてモンテカルロシミュレーションを実施した。設備が整っていないことや震災の影響もあって実測による検証は行えなかったが、検出器の特性に関する検証ではラジオクロミックフィルムの陽子線に対する応答を明らかにし、線量分布計算ソフトの開発に着手した。また、国内での発表として日本医学物理学会や日本放射線腫瘍学会、国際学会発表として米国医学物理学会においてその研究成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでのシミュレーションベースの検討から実測を行って具体的な線量特性に関する検討を行う。検出器の特性としてラジオクロミックフィルムが使えるであろうと推察されるが、依然として質量エネルギー係数比の不一致の問題は考えられる。しかしこれは視点を変えれば飛程を計測できる可能性もある。幅広い視野を持って他の検出器との相互比較を交えながらレンジモジュレーションホイールが搭載された陽子線治療装置の適正な品質管理の確立に向けて検討をする予定である。
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[Presentation] フィルムの種類を変更する際の物理測定2011
Author(s)
加藤由明, 林直樹, 松永卓磨, 矢田隆一, 山中礼奈, 村木勇太, 滝澤昌丈, 山田薫, 崔秉哲, 野末政志
Organizer
日本放射線腫瘍学会第24回学術大会
Place of Presentation
神戸、日本国
Year and Date
20111117-20111119
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