2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規皮膚透過性メラノーマ標的化ボロン送達システムを用いた中性子捕捉療法の開発
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22791229
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
笠岡 敏 広島国際大学, 薬学部, 講師 (90338690)
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Keywords | BNCT / 経皮 / メラノーマ / DDS |
Research Abstract |
メラノーマ治療に用いられるボロン中性子捕捉療法(BNCT)を発展させるために、メラノーマに高発現しているCD44を介したボロン化合物の腫瘍細胞への標的化により、従来にない送達性能と治療効果を目指した。 本年度は、前年度に調製を試みた皮膚透過DDSに利用できるボロン担体の開発をさらに発展させた。つまり前年度に、ヒアルロン酸のカルボキシル基とホウ素を結合させたナノパーティクルの形成に成功しているが、ホウ素担体を結合度が上昇することにより、その結合部位がCD44との結合部位と相関があるため逆にCD44への親和性が低下する欠点が生じた。そこで、ヒアルロン酸のカルボキシル基ではなく受容体結合に影響が軽微なヒドロキシル基に注目し、その結合を行った。BSHのチオール基とヒアルロン酸のヒドロキシル基に対するヘテロ架橋剤であるN-Succinimidyl 6-Maleimidobenzoateによってその結合体を調製した結果、ホウ素含有量は1,600ppm程度を示し、BNCTに用いることができる含量を確保できた。またビアルロン酸の繰り返し単位あたりのBSH結合率は0.3を超え、ヒアルロン酸ホウ素結合体はピレンを用いたCACの測定を行うと0.611mg/mLと集合体を形成しており、平均粒子径は158.4nmであった。このナノパーティクルの安定性を検討すると、pH7.4、4℃の保存状況では90%以上のホウ素が保持されており、37℃においても、72時間で90%以上の保持効率を示し、安定性が確認された。また、ヒト皮膚繊維芽細胞への毒性試験の結果から、ホウ素濃度として50ppm以下の実験条件では正常細胞への毒性は確認できなかった。このナノパーティクルにローダミンを結合させることで、メラノーマ細胞内への高い取り込みが確認でき、この二種の担体を用いて、京大原子炉においてコロニー形成アッセイによるBNCT効果の検討を行った結果、BSH溶液群、葉酸結合体群よりも有意に高い抗腫瘍効果を得ることができた。
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