2010 Fiscal Year Annual Research Report
軸索再生の指標となる神経特異的接着分子のPETイメージング
Project/Area Number |
22791233
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
向井 英史 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ動態応用研究チーム, 研究員 (60570885)
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Keywords | 神経接着分子 / PET |
Research Abstract |
本研究は、生体内の神経接着分子をポジトロン放射断層撮影(PET)により可視化する技術を構築し、末梢神経障害や脊髄損傷などの臨床診断並びに、遺伝子治療や再生医療などの先端医療における治療効果の検証に資することを目的としている。まず、ペプチドライブラリーからのスクリーニングによって神経接着分子NCAMに対するペプチドリガンドとして見出されているC3dを、Fmoc固相合成法により合成し、N末端に金属配位子DOTAを共有結合させてHPLC精製後、MALDI-TOF-MSにより同定した。さらに、金属ポジトロン放出核種である^<64>Cu並びに^<68>Ga標識してPETプローブ化に成功した。得られたプローブの比放射能は一般的にPETプローブとして利用可能な範囲であった。In vitroでの実証実験として、NCAMの発現が知られているヒト神経膠芽腫細胞U87MGをモデルとして、NCAMとPETプローブとの親和性について検討を行ったところ、対照ペプチド投与群と比較して増加した。この結果から、本プローブがNCAMイメージングに対して有用性があることが示唆された。以上、本年度はNCAMに対するペプチドPETプローブの合成に成功し、培養細胞における検証を行った。現在、ラットを用いた神経再生実験モデルにおけるPETイメージングの準備を進めている。また、合わせて、本ペプチドプローブの、分子量が大きく分岐構造を持つため通常の固相合成では収率が非常に低いという問題点が明らかとなったため、カップリング反応などを利用した合成により解決を図っている。
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