2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳内抗酸化ストレス活性測定用放射性プローブの開発研究
Project/Area Number |
22791234
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
菊池 達矢 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (90392224)
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Keywords | 分子イメージング / PET / 放射性医薬品 / 酸化ストレス / グルタチオン |
Research Abstract |
グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)やグルタチオンは、様々な疾患原因のひとつと考えられている酸化ストレスにより誘導されることから、これらのインビトロでの測定は、酸化ストレスマーカーとして神経変性疾患や腫瘍の病因解明を目的として広く実施されている。本研究では、脳内のGST活性をインビボで定量測定し得る放射性薬剤の開発研究を行った。前年度の結果から、6-[^<18>F]フルオロ-9-メチルプリンおよび6-[^<76>Br]ブロモ-9-エチルプリンが脳内のGST活性をインビボで定量測定し得る放射性薬剤の有力な候補であることを示唆した。 本年度は、実際に両化合物をラットに投与し、その脳内動態をPETにより検討した。評価化合物の投与初期における脳内移行性は高い一方、脳内で生成した^<18>Fおよび^<76>Brイオンは、ほぼ完全に脳内に保持された。この投与初期における脳内放射能濃度のピークと、投与後期の脳内放射能濃度の比は、1/2から1/3であり脳内の酵素活性を精度良く測定するための適切な脳内動態を示した。一方、末梢で生成した^<18>Fイオンは骨に集積し、^<76>Brイオンは全身に広く分布した。また、^<18>Fおよび^<76>Brイオンを単独投与した場合には、脳内にその放射能は観察されず、末梢で生成した^<18>Fおよび^<76>Brイオンの脳移行性は低いことが示された。しかしながら実際にモデル動物を用いた場合において、その放射能動態の応答は低かった。その原因として、小動物では末梢で生成する^<18>Fおよび^<76>Brイオンの分布により、画像上での脳内放射能集積の変化を定性的に観察することは困難であると考えられた。 さらに、非放射性の臭素標識化合物が脳へ効率的に臭素イオンを送達し得ることに着目し、その抗痙攣作用を検討したところ、最大電撃痙攣モデルにおいて抗痙攣作用は示さなかったものの、死亡率を低下させる作用があることが示唆された。
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