2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791235
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
藤田 英俊 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (90571802)
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Keywords | 炭素線 / 肺照射 / 肺晩期障害 / 肺線維化 / 遺伝子発現 / MMP |
Research Abstract |
放射線治療のひとつである重粒子線治療は、近年、高度先端医療として承認され治療が開始されている。肺がん治療においては、高齢者や低肺機能で手術適応のない患者に有効な治療法と考えられている。重粒子線照射による肺組織での炎症反応や正常組織への照射による有害事象が今後の課題となっているが、現在その詳細は明らかとされていない。本研究では,重粒子線治療に資する基礎研究として,マウス晩期障害実験モデルを用いて,重粒子線治療後の放射性肺炎および肺線維症の特徴を明らかとし、その発症メカニズムを解明することを目的とした。 C3H/Heマウス、C57BL/6Jマウスを用いて、重粒子線(炭素線)10Gyをマウス肺に照射後、12w,24w,28w,32wに肺サンプルを回収した。HE染色、マッソントリクローム染色の結果、C57BL/6Jマウスでは、24wから、肺線維化が認められ、28w,32wにおいても繊維化が認められた。一方、C3H/Heマウスでは24wに肺線維化が見られたが、28w,32wでは繊維化が認められなかった。さらに、肺のリモデリングにおいて重要な働きをするMMP2,9の発現を免疫染色にて検討した結果、MMP9がC3H/Heで強く発現することを見出した。以上の結果より、MMP9の発現の抑制が炭素線による肺線維化形成に関与している可能性が考えられた。
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