2011 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓癌の超早期診断を目的としたMRI用分子プローブの開発
Project/Area Number |
22791237
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Research Institution | 独立行政法人国立がん研究センター |
Principal Investigator |
吉本 光喜 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (00345638)
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Keywords | 膵がん / RGDペプチド / MRI / 分子イメージング / 早期診断 |
Research Abstract |
まず、前年度に作成した種々のRGD修飾リポソームの体内動態と腫瘍集積性について検討を行った。放射性インジウム(^<111>In)を内包したリポソームをヒト膵臓がん(PANC-1)皮下移植マウスに投与し、経時的な組織分布を観察した。RGD修飾リポソームは、RGD修飾量の増加に応じて肝臓及び秘蔵への集積が顕著に増加し、また、血中からも速やかに消失することが明らかとなった。Panc-1への集積は、リポソーム間で著しい差は認められなかった。体内分布の実験から、最も腫瘍筋肉比及び血液比が優れていたリポソームをMR実験に用いた。Panc-1皮下移植マウスにFe内包RGD修飾リポソームを投与し、4、24時間後に小動物用MRI装置により撮像を行った。得られた画像から腫瘍及び筋肉に関心領域を設定し、腫瘍筋肉比を算出した。また、比較としてα_vβ_3インテグリンへの親和性を示さないRKG修飾リポソームを投与した。画像の視覚的評価において、両リポソームによる顕著な造影効果の差は認められなかったが、RGD修飾リポソームの投与によりT_1強調画像における腫瘍筋肉信号強度比の増加を認めた。Fe内包リポソーム及びFe溶液ファントムを作成し、T_1緩和能(R_1)の比較を行った。その結果、Fe内包リポソームのR_1値は、Fe溶液より約30%減弱することが明らかとなった。リポソームへの内包化はFeと水分子と相互作用が制限されるため、強いT1緩和時間短縮効果が期待できないことが分かった。本研究では、α_vβ_3インテグリンへの標的指向性を有するRGD修飾リポソームの開発に成功するとともに、その課題を明らかにすることができた。今後は内包物や体内挙動の最適化を行っていきたい。
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Research Products
(1 results)