2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝による肝移植への挑戦-虚血再還流障害から移植を炎症と凝固を礎として
Project/Area Number |
22791247
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岸和田 昌之 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (40501961)
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Keywords | 虚血再還流障害 / 肝移植 / 脂肪肝 / 活性化プロテインC / トロンボモジュリン / プロテインS / プロテインC / 血小板 |
Research Abstract |
研究の目的は、(1)薬剤誘導脂肪肝モデルラットを用いて、虚血再還流障害・肝移植における細胞レベルでの固有の生物活性(抗血栓、抗炎症、アポトーシス制御、血管新生制御作用など)の探索とそのシグナル伝達系因子までの解明を行うことであり、同時に(2)肝移植の臨床検体(血液)を用いて、実際の凝固・抗凝固因子の血中動態を測定し、今後の予後測定因子の検索を行うことである。研究実施事項として、平成22年度は(i)正常ラットを用いて70%肝虚血を施行し、虚血90分後にクランプを開放する虚血再還流モデルラットを作成した。さらに活性化プロテインC(APC)およびトロンボモジュリン(TM)を、再還流時には血中APC or TM値をピークとするように虚血30分後に注入する抗凝固因子投与群も作成した。両モデルともに肝トランスアミナーゼ、MPO活性はコントロール群と比較して有意に低下していた。(ii)肝虚血再還流による類洞内血栓形成に対するAPC or TMの保護効果の評価も行った。病理検査にてAPC or TM投与群はコントロール群に比較して細胞障害の範囲をSuzuki scoreにて比較したところコントロール群に比較して有意にスコアの改善を認められた。APC or TMの血栓形成抑制作用を、免疫染色による類洞内フィブリン沈着にて確認を行ったが沈着が減少していた。血清FDP濃度も有意に低下していた。(iii)肝移植周術期の血液検体を回収し、凝固・抗凝固因子として血小板やアダムTS13、プロテインS、プロテインC,TMなど血中動態を解明するために測定を行った。移植後のある時期での血小板数が予後に関与していることが判明したが、その他の因子は臨床献体不足から統計学的処理にいたらず、さらなる症例の蓄積が必要としている。
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