2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植におけるスタチン系薬剤のグラフト機能保護効果に関する研究
Project/Area Number |
22791248
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯田 拓 京都大学, 医学研究科, 医員 (90437111)
|
Keywords | 肝移植 / グラフト機能 / 肝再生 / 免疫抑制作用 / 肝線維化 |
Research Abstract |
スタチン製剤のpleiotropic effectは他分野において注目されているが、肝移植においては全く未知のものである。本研究ではそのpleiotropic effect(血管内皮機能改善作用と免疫抑制機能)が術後グラフト機能保持に与える影響を解明する予定としている。 実験モデル レシピエント;雄Lewis rat、ドナー;雄Dark Agouti rat(共に体重約250-300g)術前処置としてレシピエントとなるラットに術前1週間前よりatorvastatin混餌食を投与し、上記手術を試行する。さらに術後もatorvastatin混餌食の投与を継続する。 A群:コントロール群(通常餌) B群:低用量群(atorvastatin 0.5mg/kg/day混餌)に部分肝移植(全肝の30%)を施行。 C群:高用量群(atolvastatin 2.5mg/kg/day混餌)に部分肝移植(全肝の30%)を施行。 結果 各群とも5例のモデルを作成し、術後肝グラフト機能の比較検討を行った。 (1)スタチン投与群(B+C群)と非投与群(A群)の比較 血清AST値:術後1日目スタチン投与群平均467 IU、非投与群872 IU、術後3日目スタチン投与群平均175 IU、非投与群315 IUとスタチン投与群で有意にAST値は低値を呈した。 ただし血清T-8il値、ヒアルロン酸値などは両群間で有意差は認められなかった。 (2)B群とC群の比較 肝機能検査の各種パラメータにおいて、両群間に有意差は認められなかった。 現時点の結果からスタチンが虚血再還流障害と思われる術後早期の肝障害を軽減する可能性が示唆された。さらに現在電子顕微鏡やHE染色での組織学的検索を行っており、肝細胞・類洞内皮障害や拒絶反応の程度を比較検討していく予定である。
|