2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791249
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 寿彦 京都大学, 医学研究科, 助教 (40388822)
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / COPD / 治療器具 / 呼吸不全 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
伸縮性合成高分子材料による肺過膨脹防止ネット(以下肺ネット)を設計・開発し、治療困難な慢性閉塞性肺疾患 (COPD)において弾性収縮力を失った肺に被覆して呼吸機能の改善を図る新しい治療法の開発を目ざす計画である。 本方法は開胸の上、肺の外側に高分子伸縮性ネットを被覆装着し,弾性収縮力を回復させ,呼吸機能を改善するというまったく新しいアイデアによる治療である。呼吸運動の力学的側面に注目すると肺は心臓と異なり自身に収縮あるいは拡張する機能を持たない。胸郭の容量変化により受動的に拡張(吸気)、収縮(呼気)をおこなう臓器である。呼気においては吸気時に蓄積された応力が弾性収縮力となり、自然な呼気が促されている。COPDの疾患肺の場合は肺の弾性力が低下し、十分な応力が蓄積されないために呼吸障害を起こしているものである。この失われた肺の弾性収縮力を、肺に収縮力を備えたネットを被覆することで回復させ、呼吸機能の改善を図るというのが本研究の目的である。 本年度においては犬肺へ試作治療具の埋め込み及び装着し、この犬肺での経時的な観察を行った。観察にはCTにて形状の変化・胸郭の変化を行い、また呼吸生理学的データの収集には人工呼吸器(Droeger社製Evita XL)をもちい、肺のコンプライアンス、肺呼吸抵抗を計測した。また埋め込み1年経過後の動物より埋没試料を摘出し素材の検討を行った。CTでの画像所見上、治療具装着側の肺には肺炎像が認められ、また胸郭の容量変化も認めており、収縮性変化が強かったものと考えられた。 摘出肺への埋没試料であるが、一年を経過した状況では弾性収縮力を失っており、埋入により素材の加水分解が生じ、埋め込み時の望ましい物性が失われたものと判断された。 研究成果については第64回日本胸部外科学会学術集会(胸部外科学会総会・11月名古屋開催)にて発表をおこない、優秀演題に選ばれるなど一定の評価を得ている。
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Research Products
(1 results)