2011 Fiscal Year Annual Research Report
肺移植後の虚血再還流障害による移植肺生着阻害に関する研究
Project/Area Number |
22791251
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉本 誠一郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (40570148)
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Keywords | 肺移植 / 虚血再還流障害 / 急性拒絶反応 / 免疫寛容 |
Research Abstract |
肺移植では虚血再還流障害が移植肺の生存期間を悪化するとされているが、虚血再還流障害による移植肺生着への影響やその機序については明らかにされていない点が多い。本研究では肺移植後の虚血再灌流障害による移植肺生着阻害の機序を解明することが目的である。このため、同所性マウス左肺移植モデルを用いて、肺移植後の虚血再灌流障害により発生する炎症性シグナル、特にIL-6が移植肺生着阻害において果たす役割を検討した。前年度のIL-6中和抗体を使用した検討に引き続き、本年度はIL-6ノックアウトマウスを用いた検討を行った。同所性マウス左肺移植を異型間のBalb/cマウスからB6マウスに冷虚血時間1時間で施行すると、移植後7日目で急性拒絶反応が確認されるが、この急性拒絶反応はMR1とCTLA4-Igを2剤投与することで抑制され(二重共刺激阻害)、免疫寛容の導入が可能となった。しかし、Balb/cドナー肺の冷虚血時間を1時間から18時間に延長すると、移植後、B6レシピエントに二重共刺激阻害による免疫抑制療法を施行しても、移植後7日目に高度の急性拒絶反応の所見を認めた。しかし、18時間冷虚血時間で異型間のBalb/c→IL-6ノックアウトマウスの肺移植を行い、二重共刺激阻害による免疫抑制療法を施行すると、B6レシピエントに比べ移植後7日目の急性拒絶反応は抑制され、IL-6中和抗体を投与した群と同様であった。これらの結果は肺移植後の虚血再灌流障害による移植肺生着阻害においてIL-6が重要な役割を果たしていることを示しており、急性拒絶反応の発症を抑制する一つの機序を示していると考えられる。
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