2010 Fiscal Year Annual Research Report
腹部大動脈瘤における接着分子ICAM-1の分子機構の解明
Project/Area Number |
22791252
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
内田 治仁 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00550857)
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Keywords | 大動脈瘤 / 循環器・高血圧 / 血管外科学 |
Research Abstract |
細胞接着因子であるintercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1)は、内皮細胞をはじめ各種細胞に発現する膜貫通型の糖タンパクであるが、マクロファージなど炎症細胞の組織への接着に関与し、炎症性疾患の発症・進展と深く関与している。現在のところ腹部大動脈瘤の病変組織においてはマクロファージなどの炎症細胞の集簇が認められ、これらの細胞の腹部大動脈瘤発症・進展への関与が強く示唆されているものの詳細はまったく不明である。我々は、今までの研究や報告により、ICAM-1がマクロファージなどの炎症細胞の浸潤を制御し、それらによる炎症を介して腹部大動脈瘤の発症・進展に関与しているのではないかという仮説にいたった。そこで本研究においては(1)ICAM-1ノックアウトマウスの腹部大動脈瘤に対する影響の検討、(2)骨髄由来細胞及び血管壁構成細胞由来のICAM-1の腹部大動脈瘤に対する影響の検討、(3)骨髄由来細胞や血管壁構成細胞におけるICAM-1がもたらす細胞浸潤制御機構およびそれによる細胞外基質の調節機構の検討、(4)抗ICAM-1抗体の腹部大動脈瘤における治療薬としての可能性の検討を行うことにより、腹部大動脈瘤におけるICAM-1の重要性と分子機構を明らかにすることを目的とした。 平成22年度は、まず、ICAM-1xapoEダブルノックアウト(DKO)マウスを作成し、breeding lineを作ることに成功した。次に、apoE KOマウスとICAM-1xapoE DKOマウスにアンジオテンシンII (AngII)を投与したところ、血圧やコレステロール、体重には群間で差がないにもかかわらず、ICAM-1xapoE DKOマウスでは有意に腹部大動脈瘤の形成が抑制された(n=16-18, p<0.01)。そこで、キメラマウスを作成し、骨髄由来細胞及び血管壁構成細胞由来のICAM-1のどちらが腹部大動脈瘤の発症に影響するかという検討を行い始めた。現在、骨髄移植を行い、検討を行っているところである。今後、1群がn=20前後になるように数を増やしている段階である。
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