2010 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の癌免疫機構における免疫補助刺激分子の臨床的意義と新たな臨床応用への展開
Project/Area Number |
22791256
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
有上 貴明 鹿児島大学, 医学部・歯部附属病院, 医員 (40527058)
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Keywords | 癌免疫機構 / T細胞性免疫応答 / B7 ligand family / 遊離癌細胞 / B7-H3 / B7-H4 |
Research Abstract |
癌免疫機構におけるT細胞性免疫応答に関連し,近年注目されているB7 ligand familyの中で,特にB7-H3およびB7-H4に着目し,胃癌末梢血液中の遊離癌細胞におけるこれらの発現と病理学的背景および予後との関係について検討し,B7-H3/B7-H4発現の臨床的な意義について解析した。切除胃癌94例の術前末梢血液を対象とし,コントロールとして胃癌細胞株および健常者の末梢血液検体を使用した。B7-H4 mRNAの発現は定量RT-PCR法により評価した。胃癌細胞株全例において発現は認められ,胃癌患者における発現は健常者に比較して明らかに高値であり(P<0.0001),94例中71例(75.5%)に発現が認められた。臨床病理学的因子との関係ではB7-H4陽性群は有意に深達度,リンパ節転移およびステージと相関しており,陽性群の予後は陰性群に比較し,明らかに予後不良であった(P=0.04)(J Surg Oncol : 2010)。次に胃癌末梢血中のB7-H3の発現を同様に検討した。切除胃癌95例の術前末梢血液を対象とし,B7-H3 mRNAの発現は定量RT-PCR法により評価した。胃癌細胞株全例において発現は認められ,胃癌患者における発現は健常者に比較し,明らかに高値であった(P<0.0001)。臨床病理学的因子との関係ではB7-H3高発現群は有意にステージと相関していた(P=0.013)。また高発現群の予後は低発現群に比較し,明らかに予後不良であり(P=0.02),多変量解析ではリンパ節転移と共に独立した予後因子の一つであった(P=0.046)(Cancer sci : 2011, inpress)。これらの結果より胃癌における末梢血中のB7-H3/B7-H4発現の検索は新規腫瘍関連マーカーとなる可能性があり,癌の悪性度や予後を予測する上で有用な指標となる可能性が示唆された。
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