2010 Fiscal Year Annual Research Report
HDAC制御を介した癌抑制における新規標的マイクロRNAの探索と治療への展開
Project/Area Number |
22791263
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
上原 範久 関西医科大学, 医学部, 講師 (30368211)
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Keywords | HDAC inhibitor / vorinostat / microRNA / breast cancer / tumor suppressor |
Research Abstract |
miRNA(microRNA)は真核生物に広く保存されているnon-coding small RNAであり、翻訳レベルでタンパク発現を制御し、多くの生命現象を調節している。近年、miRNAの発現異常が様々な癌細胞で見出され、発癌、浸潤、転移への関与が報告されている。これらmiRNAの機能、発現特異性は癌治療・診断マーカー応用への有用な候補であるが、その機能と発現制御機序の詳細は未だよく知られていない。我々はこれまでに、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤vorinostatによる乳癌細胞増殖抑制機序の解析を行ってきた。本研究では、HDAC制御を介したmiRNAの発現調節による癌抑制への応用を研究の全体構想として掲げ、HDAC阻害剤を用いた癌抑制における新規標的miRNAの探索を行った。vorinostat処理後のヒト乳癌細胞株MDA-MB-231細胞よりmiRNAの単離し、miRNA PCR arrayを用いて癌関連miRNAの網羅的発現解析を行った。その結果、顕著な発現上昇(9種)および低下(3種)をみるmiRNA12種の同定に成功した。これら発現上昇をみたmiRNA群(miR-1、miR-138、miR-148a、miR-184、miR-199a-3P、miR-203、miR-205、miR-206、miR-210)は、real-time PCRによる定量解析においていずれも発現上昇が確認されたことから、vorinostatによる癌細胞増殖抑制機序への関与が示唆された。 現在、上記miRNA群のHDAC制御を介した癌抑制における機能解明に向け、miRNA発現ベクターの作製ならびにmiRNA安定発現細胞株の樹立を行っている。
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Research Products
(4 results)