2011 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌に対するHerceptin抗体療法とperforin耐性の関与
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22791268
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
河口 賀彦 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (80402048)
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / Herceptin / 抗体依存性細胞障害 / ADCC / perforin / granzyme |
Research Abstract |
近年、新たな癌治療の選択肢として分子標的治療薬が開発され、乳癌では、抗HER-2モノクローナル抗体であるtrastuzumab(Herceptin^<TM>)が標準治療に組み込まれている。本申請研究は、予後不良として知られている食道扁平上皮癌に対するHerceptin抗体療法の導入を目指し、Herceptinに対する食道扁平上皮癌細胞の耐性の機序、すなわち、癌の抗体依存性細胞傷害(ADCC)からの逃避のメカニズムを解明することを目的とする。 昨年、HER-2を過剰発現した食道扁平上皮癌細胞株TE4に、HerceptinによるADCCを繰り返し暴露させ、ADCC耐性の細胞集団を作製した。そして耐性集団と親株のcloneを限界希釈法にて樹立したところ、耐性集団と親株からそれぞれ34個のcloneが樹立された。次にそれらのcloneのHER-2発現とADCCを測定し、HER-2の発現が同程度で、ADCC活性が異なるcloneを選択し、ADCCに関与する因子を検討した。その結果、HER-2の発現は約120(MFI)で、ADCCが72%、43%と有意な差を認める組と、HER-2の発現が約100(MFI)でADCCが85%、47%と差を認める組が存在した。このcloneにおけるperfbrinとgranzymeの感受性の違いについてさらに検討した結果、HER-2の発現は約120(MFI)のcloneにはperforin、granzymeによる感受性の違いを認めた。しかし、HER-2の発現は約100(MFI)のcloneにはperforinによる感受性の違いを認めなかった。次にBcl-2やproteinase 9の発現を検討したが、clone間に有意差を認めなかった。これらの結果から、perforinの感受性がHerceptin耐性の機序に関与することが予想された。
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