2010 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌における抗血管新生療法に対する耐性機構の解明
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22791270
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
菊池 寛利 浜松医科大学, 医学部, 特任助教 (70397389)
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Keywords | 消化器癌 / 抗血管新生 / 耐性機構 |
Research Abstract |
浜松医科大学外科学第二講座にてマウスの皮下で継代維持しているKRAS変異ヒト大腸癌固形腫瘍TK4を同所(盲腸壁)へ移植し、抗vascular endothelial growth factor (VEGF)中和抗体治療を行い、腫瘍細胞および腫瘍周囲間質におけるJag1の発現をqRT-PCRにて調べた。興味深いことに抗VEGF治療によって血管密度および腫瘍増殖の抑制がみられたにも関わらず、Jag1発現はほとんど変化していなかった。これはDLD1細胞株の皮下移植モデルで得られた結果と異なる。細胞株と異なり、TK4が分化型腺癌の組織像を保った固形腫瘍であることや、特殊な環境である皮下ではなくより臨床癌に近い同所(盲腸壁)で発育したこと等が影響している可能性が考えられる。 申請者は以前より、全く異なる環境である皮下と盲腸壁が移植腫瘍片に与える影響が異なることを報告しており(Cancer Res.68 (23) : 9754-62, 2008)、皮下移植モデルではなく、ヒト大腸癌固形腫瘍を同所へ移植する同モデルにて正確に抗VEGF抗体治療の効果を評価することが重要かつ必須であると考える。そこで、同モデルにて抗VEGF抗体治療群とコントロール群の腫瘍における遺伝子発現をマイクロアレイにて解析した。中和抗体治療6週間後に腫瘍を採取しRNAを抽出。腫瘍組織における遺伝子変化をAffimetrixのHuman Gene 1.0 STを用いて解析、さらに腫瘍中のマウス組織すなわち間質や腫瘍血管における遺伝子変化を同Mouse Gene 1.0 STを用いて解析した。得られたデータから、腫瘍と腫瘍微小環境の関係や、抗体治療が両者に対し及ぼす影響などを現在検討中である。
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Research Products
(1 results)