2010 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌の増殖を支持する癌付随線維芽細胞におけるFOXF2遺伝子の役割
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22791272
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
SULTANA Nishat 浜松医科大学, 医学部, リサーチアシスタント (80529503)
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Keywords | 癌付随線維芽細胞 / 癌細胞増殖 / FOXF2 / 上皮-間葉相互作用 / 転移能 / Wint |
Research Abstract |
平成22年度は、Shhを分泌していることが知られている癌細胞を用いて癌移植の実験を行なった。大腸癌細胞HT29単独、HT29癌細胞と胎生18.5日のFoxf2^<-/->マウス胎仔の腸線維芽細胞(intestinal embryonic fibroblast, IEF)を混合したもの、HT29癌細胞と胎生18.5日の野生型マウス胎仔のIEFを混合したもの、をヌードマウス皮下に移植した。10週後の腫瘍サイズは、癌細胞単独移植に比し、Foxf2^<-/->IEFを混合移植した場合1.4倍、野生型IEFを混合移植した場合3.0倍であった。また、前立腺癌細胞LNCaPを用いて同様な移植をヌードマウス皮下に行なった場合、癌細胞単独では腫瘍は形成されず、Foxf2^<-/->IEFを混合移植した場合は8匹中2匹に平均22mm^3の腫瘍が形成され、野生型IEFを混合移植した場合は8匹中8匹に平均346mm^3の腫瘍が形成された。この結果は、癌細胞の移植・増殖には間質の線維芽細胞が重要な役割を果たしていることを示唆している。そして、Foxf2遺伝子は癌細胞増殖の支持因子を制御してでいることを意味している。つまり、癌付随線維芽細胞の機能の一つはFoxf2遺伝子により担われていると解釈できる。 Foxf2^<-/->マウスのIEFを用いた場合と、野生型マウスのIEFを用いた場合の腫瘍の病理像を比較した。後者では、腫瘍細胞は大きな細胞塊を形成し、中心部まで腫瘍細胞が認められた。一方、前者では、腫瘍細胞は小さい細胞塊を形成するが、中心部に壊死が認められた。そこで、血管内皮細胞を染色するVECAM抗体で腫瘍部を染色してみると、後者では多くの血管が認められたが、前者では血管の形成が悪いことが判明した。
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