2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791278
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
畠野 尚典 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40571352)
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Keywords | 肝細胞癌 / 胆管細胞癌 / 癌幹細胞 / 標的療法 |
Research Abstract |
癌幹細胞は癌の根源となる細胞であるため、これらの癌幹細胞を標的とすることにより癌の根治が可能であると考えられている。われわれは、肝臓癌においてはCD13+CD90-細胞が癌幹細胞様の性質を持つことを同定した。この細胞は抗癌剤・放射線に対して非常に高い抵抗性を有し、また、過酸化ストレスによるDNAダメージを回避する能力が高いことを見出した。更に抗癌剤に加えCD13中和抗体を併用投与することにより、肝癌細胞株およびマウスモデルにおいて抗癌剤感受性の増大を確認し報告した(The Journal of Clinical Investigation, Volume 120, Number 9. September, 2010)。またこれらの結果から、CD13が単に癌幹細胞の表面マーカーのみならず、CD13自身が未知の機能を持ち合わせており、その機能によってCD13を発現している細胞が癌幹細胞様の性質を発現もしくは獲得しているのではないかと考えた。これらを検証する目的で、CD13陽性細胞の腫瘍内での局在や発現様式・臨床病理学的特徴(分化度・悪性度・予後など)との関連について現在研究を進めている。 今後は癌幹細胞を更に明確に同定できるマーカーの検索を行い、正常幹細胞と癌幹細胞との区別を厳密に行える様にした上で、癌幹細胞のみを標的とし正常幹細胞にダメージがない全く新しい治療法の開発を目指している。また肝臓癌における幹細胞発癌を明確にし、幹細胞における遺伝子変化を解明することにより、発癌リスク診断や発癌予防薬の開発に繋がるものと思われる。
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[Presentation] 肝癌における癌幹細胞の分離・同定と標的治療の可能性2010
Author(s)
畠野尚典, 原口直紹, 石井秀始, 瀧内大輔, 和田浩志, 小林省吾, 丸橋繁, 江口英利, 武田裕, 種村匡弘, 永野浩昭, 土岐祐一郎, 森正樹
Organizer
第31回癌免疫外科研究会
Place of Presentation
大阪市
Year and Date
2010-05-21
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