2010 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の抗癌剤耐性を制御するmicroRNAの同定と機能解析
Project/Area Number |
22791280
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
友國 晃 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40528577)
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Keywords | microRNA / 抗癌剤耐性 / 網羅的発現解析 / 肝癌 / 膵癌 |
Research Abstract |
消化器癌の治療の中心は外科的切除であるが抗癌剤治療も重要で,その治療過程においてしばしば抗癌剤耐性が問題となる.例えば膵癌においては,治癒切除率の低さ,再発率の高さから抗癌剤治療が行われることが多いが,現在用いられる薬剤の中心であるジェムシタビンの有効性は十分ではなく,本邦における5年生存率は13%にとどまる.また,教室ではこれまで進行肝細胞癌に対するインターフェロンα/5-FU併用動注化学療法(以下FAIT)について報告し,奏効例における良好な治療成績を示してきたが,FAIT感受性不良例も存在し,その予後は極めて不良である.一方,近年microRNAの癌の生物学的ふるまいにおける重要な役割の報告が増加し,薬剤耐性との関連を示唆する文献も多い.そこで,今回われわれは肝癌および膵癌における抗癌剤耐性を制御するmicroRNAの同定と機能解析を目的として研究を開始した.まず,肝癌および膵癌の細胞株から,薬剤耐性クローンを樹立し,親株との間のmicroRNAの網羅的発現解析を行った.ここから候補miRNAを抽出し,in vitroにおける強制発現/発現抑制系を用いて,抗癌剤耐性の変化およびそのメカニズムを解析した.今後,in vivoにおける腫瘍形成および抗癌剤治療のモデルを作成し,miRNAによる抗癌剤耐性制御を示したいと考えており,miRNAを用いた核酸製剤の開発など,臨床応用に向けての更なる発展が期待される.
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