2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌再発関連遺伝子のDNA異常に基づく血液からの再発予測システムの開発
Project/Area Number |
22791284
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
恒富 亮一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10420514)
|
Keywords | 癌 |
Research Abstract |
我が国では、肝細胞癌(HCC)の発生主因の一つとされているC型肝炎ウィルス感染者が多数存在しており、HCCに対する新たな診断・治療薬の開発が切望されている。本研究では肝内再発に対する再発予測システムの開発を行う。 1.再発関連遺伝子の同定と検証 前年度に実施したDNAマイクロアレイ解析に加えて、High Coverage Expression Profiling( HiCEP)法により新たに6つの肝細胞癌(HCC)再発関連遺伝子候補を得た。得られた再発関連遺伝子を定量的real-time PCR (qPCR)により検証したところ、1つの再発特異的なup-regulated遺伝子、2つのdown-regulated遺伝子の同定に成功した。これらの遺伝子それぞれの癌部/非癌部発現比は、有意に無再発生存期間と関連していた。 2.再発関連遺伝子のDNA異常の解析 上記1)にて同定した3つの再発関連遺伝子について、プロモーター領域のCpGアイランドの有無を解析し、1つの遺伝子においてCpGアイランドが確認され、これに対するメチル化特異的PCR条件を確立した。 3.cell-freeDNAにおける解析 HCC患者血清より、cell-free DNAの抽出を行った。しかしながら、その収量は予備試験の段階よりも低く、定量的メチル化特異的PCRによる再発予測には、測定標的遺伝子を絞り込む必要が生じた。 4,再発予測システムの構築 血液からの再発予測システム構築には課題が見られたことから、手術標本からの再発予測システムの構築を行った。これまでの研究から同定した再発関連遺伝子も合わせて、合計9遺伝子のmRNA発現レベルから再発予測式を構築した。その結果、その内の5つの遺伝子発現レベルを組み合わせた式は、術後2年以内再発に関してROC曲線下面積0.983を示し、検証サンプルにおいても陽性的中率100%の性能を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果の特許出願(海外)に関して時間を費やした。また、再発予測システムについて、手術標本からは優れた性能のシステム構築に成功したが、当初目標の血液からのシステム構築には至っていない。これは予備試験から見積もっていた血液中のcell-free DNAよりも本研究における血清からのcell-free DNAの収量が低かった事による。
|
Strategy for Future Research Activity |
再発予測については、手術標本を用いることで達成される。その後の、モニタリングには血液からの予測システムが必要である。手術標本からの再発予測システムの改良と共に、血液中の微量DNAの増幅やmulti-plexな解析方法をさらに検討し、研究を推進する。
|