2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌肝細胞マーカーを用いた肝細胞癌における血中癌細胞の検出とその意義の解明
Project/Area Number |
22791292
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 稔郎 九州大学, 医学研究院, 助教 (50551256)
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Keywords | 肝細胞癌 / CD90 / EpCAM / CD44 / 血中癌細胞 / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
我々は肝細胞癌(HCC)における循環血中癌細胞(CTC)を検出するための有効なマーカーを探すことを目的とし、CD44, CD90,EpCAMをマーカーとして上FACSを用いて血中癌細胞の検出を試みた。健常者17名、癌患者36名を対象とし調査を行った結果、CD90+CD45-細胞に関しては、癌患者の末梢血中に存在する単球細胞(PBMC)に占める割合は0.01~0.3%(Mean0.05%)で、腱常者と比較して癌患者において有意にその割合は高く、StageIII/IVにおいてその割合は高かった。 EpCAM+CD45-,CD44+CD45-は健常者においても高値症例が存在し、また癌患者と健常者の間に有意差も認めなかった。また、CD90+CD44+細胞が最も肝細胞癌の悪性度と関連するとの報告がなされているものの(Sheung TF et al Ann Surg 2011)、これらの細胞の検出率は限りなく低く(<0.01%)、現在の方法では検出感度や癌特異性に問題があると考えられた。マルチカラーでの検出は非常に高価で、また癌幹細胞と考えられる細胞の存在比率は非常に低く、Sortするためにはある程度の血液量が必要であったため、今回の検討では比率解析のみが限界で、MicroRNAの解析までは至らなかった。すべての患者に共通するマーカーを探すというよりは、それぞれの癌幹細胞マーカーの発現パターンを調べる事が必要と考えられ、蛋白レベルでの癌幹細胞マーカーの発現形式を肝細胞癌細胞株7株において調べた。すると、mRNA発現レベルとは若干異なり、HepG2を除くと、すべての細胞がCD90, CD133, CD44, EpCAM, CD13といった既知の癌幹細胞マーカーのいずれか2つを発現していた。また単一のマーカーのみではFACS解析では発現細胞が100%を占めるものも存在し、単一マーカーでの癌幹細胞の検出には制限が存在する事が示唆された。新たにCD13(Haraguchi et al J Clin Invest 2010)やCD24(Lee et al Cell Stem Cell 2011)といった報告も見られ、これらを含めた検討も今後必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
癌幹細胞マーカーとして様々なマーカーを準備したものの、マルチカラーでの検出には多大なコストとサンプル量を要し、様々な候補となるマーカーから有力なものを探し出す作業は不可能であった。また、検出した癌幹細胞の回収量は予想したよりも少なく、RNA抽出に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
癌幹細胞のマーカー探しに関しては、肝細胞癌細胞株においてその発現が相互排他的なものが存在し、それらの発現パターンをヒトサンプルにおいて確認する必要があると考えられた。現在肝細胞癌の血中癌細胞に関してはCD90+CD44+細胞が最も臨床的な重要性が報告されており、CD44に注目して機能解析を始め研究を進めており、ヒト血中癌細胞の解析についてはCD90+CD44+細胞をsortして機能解析を進めていくことがコストと限られたサンプル量を考慮した上で不可避かと思われた。
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Research Products
(1 results)