2011 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘膜下腫瘍切除検体を用いた初代細胞の樹立と薬剤耐性機序の解明
Project/Area Number |
22791302
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
迫 裕之 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10445364)
|
Keywords | 胃粘膜下腫瘍 / GIST / イマチニブ / c-KIT / PDGFRα |
Research Abstract |
GIST切除組織(29検体)より2株の細胞(GK7C及びGK22C)及び3株のXenograft (GK7X,GK15X,GK22X)の作製に成功した。樹立した各細胞及びXenogrftについて免疫組織(細胞)染色法によるKITの発現解析の結果、全ての株について陽性であることが示された。次に、分子標的薬であるイマチニブ感受性試験では、2株とも感受性を示し、IC_<50>値はそれぞれGK7Cで4。6μM、GK22Cでは11.0μMを示した。同様に、3株のGIST皮下移植モデルマウスを用いたイヤチニブの感受性試験における28日間経口持続投与を施行した結果、コントロール群に対し、イマチニブ投与群において3株とも有意に抗腫瘍効果が得られ、イマチニブに対し感受性を有することが示唆された。これらの結果より、樹立した細胞株及びXenogrft株は、GISTの増殖能、薬剤耐性機能を研究するにあたり有用な生物材料であることが示唆された。イマチニブ持続曝露により作製した耐性株(GK7C-IMR,GK22C-IMR)におけるイマチニブ感受性試験では、IC_<50>値は、それぞれ11.7μM(p<0.01)及び41.4μM(p<0.05)を示し、親株に比べイマチニブに対するIC_<50>値が256~3.73倍に上昇していることが確認された。この樹立した耐性株について薬剤抵抗性機能を評価した結果、ABCトランスポーターであるABCC2及びABCC5の発現亢進、またSrcのリン酸化亢進が検出された。更に、Srcの阻害剤であるPP2及びイマチニブ併用によりイマチニブ耐性株に対する抗腫瘍効果の増強作用が認められた。 イマチニブ耐性株は、薬剤排出トランスポーターであるABCトランスポーターを高発現させることで薬剤ストレスに対する抵抗性を獲得し、更にSrcの活性化が耐性株の増殖及び生存を向上させている可能性が示唆された。
|