2010 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管は消化管腫瘍の新たな診断基準となり得るか?
Project/Area Number |
22791304
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
北原 秀治 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40510235)
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Keywords | 血管新生 / 腫瘍血管 / 消化管腫瘍 / 多段階発癌 |
Research Abstract |
腫瘍増殖のためには酸素や栄養分の供給が不可欠であり、その現場では血管の新生や退縮が盛んに行われている。従って、腫瘍血管の新生パターンを把握することは、腫瘍増殖を制御するために必須となる。今回申請者は、小腸上皮の悪性化に伴い、血管の新生パターンがどの様に変化するのかを検索した。生後数週より小腸にポリープを多発するAPC^<Min/+>マウスに、高脂肪食と硫酸デキストランナトリウムを摂食させ、悪性化を加速させた。経時的に蛍光トマトレクチンを静注して血管内面を標識し、灌流固定後に腫瘍を摘出して凍結切片を作製した。さらに、各種マーカーによる蛍光免疫染色を重ねて、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。また、電子顕微鏡による超微形態学的観察も行った。さらに、ウェスタンブロットを行い腫瘍内でのタンパク発現の変化を観察した。小腸上皮が腫瘍化していく段階で、絨毛部の血管は、良性腫瘍(腺腫)においては、新生血管は著しい形態的変化と、密度の増加を認め、電顕的にも基底膜の不連続化や、血管の内皮表面に微絨毛様の突起が出現するなどの変化が認められた。腫瘍が悪性化するにつれて、新生血管は密度をさらに増し、形態的変化が著しく異型性を伴った。特に走行が無秩序になり、リンパ管も大小不同であった。微細構造においても基底膜は多層化し、内皮細胞にも糸状仮足様の突起の増加が認められるようになった。これらの結果より、上皮の悪性化に伴い、腫瘍血管にも、段階的な変化が現れることが示唆された。このように、上皮の悪性転化を局所の微小循環系の変化との関連で捉えることができれば、新しい診断法や治療法の開発の上でも重要な指標となるかもしれない。
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Research Products
(6 results)