2011 Fiscal Year Final Research Report
Stem cell transplantation for myocardial regeneration : a new approach using actin assembly regulator Fhod3
Project/Area Number |
22791317
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Thoracic surgery
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
KAN-O Meikun 九州大学, 病院・心臓血管外科, 医員 (80567371)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Keywords | 心筋再生 |
Research Abstract |
以上のように、これまでに得られた幹細胞移植の治療効果は、心筋細胞に分化し得るという幹細胞のポテンシャルを十分に引き出せておらず、「幹細胞から心筋細胞への分化効率」を改善することが、移植治療効果の改善に必須であると考えられる。現在、このような観点から、幹細胞に対して移植前に遺伝子操作を行い、心筋細胞への分化を促す、というアプローチが注目されている。本研究申請者はForminファミリーに属するFhod3に着目した。アクチン重合制御因子Fhod3は、単量体アクチン重合によるアクチンフィラメント形成を制御する。これまでに本研究申請者の所属するグループは、Fhod3が心筋細胞に特異的に発現し、ラット培養心筋細胞においてサルコメア形成を促進することを報告した(Kanaya H, Genes Cells 2005 ; 10 : 665-78/Taniguchi K, J Biol Chem 2009 ; 284 : 29873-81)。さらに、ForminファミリーはSRF(血清応答因子)を介した転写促進を増強するが、Fhod3も同様にSRFを活性化することを明らかにした(Taniguchi K, J Biol Chem 2009 ; 284 : 29873-81)。SRFをノックアウトしたES細胞ではNKx2. 5やGATA-4、またα-actinやmyocardinなど、心筋細胞の分化、成熟に必須な因子が欠失あるいは低下する。すなわち、Fhod3は心筋細胞の幹細胞からの分化、さらにはサルコメア構造の形成に深く関与していると考えられる。以上より、本研究申請者は幹細胞に前処置としてFhod3を強制発現させたうえで梗塞部への移植を行い、治療効果を上げる、という着想を得た。すなわち、Fhod3の強制発現により幹細胞内のSRFを活性化し、心筋細胞への分化を促進しようとするものである。前述のように、これまでの臨床試験で報告された幹細胞移植による心機能改善効果は、非常に僅かなものにとどまっている。幹細胞を真に心筋細胞に分化させれば、幹細胞移植の効果が飛躍的に上昇すると思われる。また、心臓血管外科領域における本研究の意義は極めて高く、急性冠症候群に対する冠動脈バイパス手術後の予後改善につながると期待される。手術時に梗塞領域を直接視認のうえ幹細胞を心外膜側より注入することでより効果的なdeliveryが可能であり、target vesselがungraftableであった場合にも幹細胞移植を行うことができるためである。本研究の成果によって、手術による血行再建と同時に心筋細胞再生を行う、といった理想の治療が可能になると考えた。
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Research Products
(4 results)