2011 Fiscal Year Annual Research Report
ST上昇型心筋梗塞に対する新たな治療法の実験的検討
Project/Area Number |
22791324
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
吉武 勇 日本大学, 医学部, 助手 (60409034)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 外科 |
Research Abstract |
本研究の目的は血行動態の悪化したST上昇型心筋梗塞(ST-segment elevation myocardial infarction:STEMI)に関する新たなアプローチを提案することであり、その理想的な治療法として、β-blockerを用いたactive rate controlによる梗塞サイズ縮小および二次予防効果と経皮的挿入可能な左心補助装置であるImpellaを用いた循環補助効果およびunloadingによる梗塞サイズ縮小効果を組み合わせたHibernation therapy(HT)を新たに考案し、ブタを用いた虚血再灌流モデルによりその効果を検証しました。前年度に施行したpilot studyおよび昨年施行済みのデータに加え、死亡・除外症例(心室細動により心肺蘇生措置を要し、ショックが遷延した症例を含む)に対する追加実験を行い、全18頭(A群:コントロール群、B群:左心補助群、C群:HT群)のデータを用いて肉眼的組織評価による梗塞サイズの縮小効果を検証しました。その結果、梗塞率(梗塞危険領域における梗塞巣の割合)はA群:65.38±6.07、B群:39.66±11.16、C群:21.78±7.29と3群間で有意差(p<0.001)を認め、治療による梗塞範囲縮小効果が確認されました。また、A-B群間(p<0.001)、A-C群間(p<0.001)、B-C群間(p=0.006)においても有意差を認め、HTが最も有効であることが判明しました。本研究によりSTEMIの治療に新たな可能性を見出せたことは学術的価値の高い研究のみならず社会的貢献が高いものと考えますが、本検討においてはコントロール群が必要であったため、梗塞範囲が致死的にならないよう制限する必要があり、HTが最も有効と考えられる心原性ショックを伴ったSTEMIに対する検証は出来ず、追加検討が必要と考えました。
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