2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791345
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
菱川 朋人 岡山大学, 大学病院, 助教 (60509610)
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Keywords | びまん性軸索損傷 / 骨髄由来幹細胞 / 幹細胞移植 / 頭部外傷 / 神経再生 |
Research Abstract |
平成23年度は、静脈内移植との比較検討を中心に研究するともに、より効率の良い幹細胞のdelivery methodついて詳細に検討、実施した。具体的には、Fluid percussion装置(DragonFly社製)を用いてびまん性軸索損傷(TBI)モデルを作成し、ラットから骨髄由来幹細胞(MSC)を分離・培養し、1x106個のMSCを動脈内移植した。移植用のMSCは事前に蛍光標識物質であるQ-Dotを用いてin vitroにて細胞標識をしておき、移植後の生存細胞数カウントや分化・遊走の評価に用いることができるようにした。MSCをTBIモデル作成2時間後に、顕微鏡下に総頚動脈より内頚動脈にカテーテル留置してゆっくりと細胞を移植した。動脈内移植24時間後に、MSCの遊走を評価した。また、Blood brain barrier (BBB)を薬剤により一時的に開放し、目的の物質を脳内により多く到達させるという、Blood brain barrier disruption (BBBD)なる概念が近年注目されており、intactなラットに対して、どの薬剤がBBBDに有効か、Evan's Blueの漏出量を用いて検討し、その薬剤下で、MSCが生存可能かどうか検討した。また、動脈内移植されたMSCの遊走について、BBBD環境と非BBBD環境にて比較検討した。結果、頭部外傷後に移植した群で、MSCの脳内への遊走を認めた。遊走は、直達外力部位のみならず、海馬近辺でも観察された。25%マンニトールにて、有意にEvan's Blueの漏出のが増加し、最も効果的にBBBDを誘導できた。更に、通常の培養条件と比較して、25%マンニトール内での培養は、MSCの生存率に有意な変化を与えなかった。ゆえに、BBBDの下で、より多くのMSCが、脳内に移植できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験の方向性とは少し異なる方向へ進んでいるが、幹細胞を用いていかに効率よく頭部外傷を治療するかという観点においては変わりなく、順調に成果も得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)骨髄幹細胞移植後の細胞移植に伴う効果、(2)骨髄幹細胞移植後の機能回復、(3)Blood Brain Barrier Disruption以外のDrug Delivery Systemの検討、(4)現在TBI後に起こりうるといわれているAlzheimer病様脳変性と細胞移植との関連を検討したいと考えている。また、得られた結果を論文としてまとめたいと考えている。
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