2010 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞と養子免疫を用いたマウス脳腫瘍モデルに対する治療
Project/Area Number |
22791352
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
西村 文彦 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (70433331)
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Keywords | 脳腫瘍 / 長期免疫 / 樹状細胞 / 養子免疫療法 / インターフェロン |
Research Abstract |
マウス脳腫瘍モデルを用いた免疫治療の検討を行うことにより、臨床治験に役立つ基礎的データを集積することが本研究の目的である。方法としては、in vitroでovalbminを発現しているマウスmelanoma cell lineを培養し腫瘍細胞を準備し、C57BL/6系マウスに定位的に脳内に注入しマウス脳腫瘍モデルを作成した。一方で養子免疫療法として腫瘍抗原特異的リンパ球を準備した。培養中に様々なサイトカインを加えてtype I T細胞(Tcl)に誘導し、上記脳腫瘍モデルに静脈投与した(養子免疫療法)。腫瘍内投与するための樹状細胞は、同系マウスの骨髄から採取培養した。脳腫瘍モデル作成後、5日目に腫瘍内へ樹上細胞を定位的に投与し、翌日に養子免疫療法としてTc1を静脈投与した。結果として、腫瘍内に樹状細胞を投与することにより、腫瘍抗原をT細胞に抗原提示し、かつ樹状細胞から分泌される様々なサイトカインにより腫瘍内から例えばinterferon inducible protein-10 (IP10)といったケモカインがより多く分泌され、静脈投与されたT細胞が効率的に遊走、集積し腫瘍細胞を攻撃する結果が得られた。またこれらの免疫治療により有意に脳腫瘍モデルマウスの生存期間が延長した。長期生存したマウスに再度腫瘍細胞を脳内へ投与し腫瘍再チャレンジを行ったところ、樹状細胞投与群では、さらに生存期間が延長した。Tclも腫瘍内へ長期にわたり作用していることがわかった。 このことから脳腫瘍モデルマウスに対して、樹状細胞や腫瘍抗原特異的T細胞投与といった免疫治療を行うことは、将来的にも臨床の場で効果的な治療法となる可能性がある。また本研究の成果は、脳腫瘍患者のみならず、他の癌患者にも、応用できるものと考えられる。
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Research Products
(4 results)