2011 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子OASISによる神経軸索伸展抑制機構の解析と再生医療への応用の可能性
Project/Area Number |
22791353
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
奥田 洋明 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40453162)
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Keywords | アストロサイト |
Research Abstract |
平成23年度は転写因子OASISの標的遺伝子C6ST1の転写活性能の解析を行った。OASISが結合する配列としてはERSE(ER stress response element)、CRE(cyclic-AMP response element)およびUPRE(unfolded protein response element)配列が報告されている。そこでC6ST1のプロモーターがこれらの結合配列を持ちうるのか、データベースを用いて検索を行った結果、CRE配列に類似した配列がいくつか認められたため、その上流から転写開始部位までをレポーターベクターに組み込み、OASISの発現ベクターとともに用いて、ルシフェラーゼアッセイによる転写活性能を解析した。その結果、プロモーター部位にはOASISによる転写調節部位は認められず、第1イントロンにおいてエンハンサー活性を持つことが認められた。さらにOASIS結合配列を欠失または変異させたレポーターベクターを作成して詳細に解析したが、詳細な結合部位は同定できなかった。また、OASISのDNA結合能をゲルシフトアッセイにより検討したが、同様に詳細な結合部位は同定できなかった。また、平成23年度に行う予定だったOASISノックアウトマウスを用いたin vivoの実験系はマウスの繁殖効率が悪いため、予定より遅れており、繁殖が軌道に乗り次第、取り掛かる予定である。 以上の結果より、OASISはC6ST1の第1イントロンでエンハンサー活性を持ち、発現を調節している可能性がある。昨年度の結果も考慮すると、OASISはアストロサイトにおいてCSPGの糖鎖修飾を調節している可能性が示される。大脳皮質損傷時においてCSPGの糖鎖は神経再生を阻害する因子として知られることから、OASISによる糖鎖制御機構の解明は、神経再生の一助となりうると思われる。
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