2010 Fiscal Year Annual Research Report
がん幹細胞をターゲットにした光線力学療法および化学療法の開発
Project/Area Number |
22791362
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
井上 洋人 大阪医科大学, 医学部, 非常勤医師 (00570532)
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Keywords | がん幹細胞 / 5-アミノレブリン酸 / Gefitinib / ポルフィリン / ABCG2 / 光線力学療法 |
Research Abstract |
【目的】ABCG2は、ポルフィリンや各種抗がん剤を細胞外に排出するトランスポーターであり、抗がん剤の耐性因子としても知られている。さらに、癌治療においてターゲットとなりつつある癌幹細胞で、特に強く発現している。従って、ポルフィリン誘導体を使用するPDTにおいて、ABCG2の影響の理解とその制御は極めて重要なテーマである。そこで我々は、ABCG2の発現とその阻害剤であるGefitinibが、5-ALA PDTに及ぼす影響をin vitroモデルで検討した。 【研究内容】各種の腫瘍細胞株(悪性グリオーマ:U87MG,U118MG,A172,T98G,悪性髄膜腫:IOMM-Lee)をGefitinib(0.1-1.0mM)環境下で予め培養した後、5-ALA 1mMにて培養した。PpIXの細胞外への排出は活発であり、培養6時間後には、細胞外PpIX量が細胞内PpIX量の1.3-2.7倍に達していた。しかし、いずれの細胞株においても、Gefitinibは非常に低い濃度(0.1mM)から細胞内PpIX量を増加させ、細胞外PpIX量を減少させた。その結果として、5-ALA PDTの殺細胞効果(Colony forming assay)を、Gefitinibは低濃度(0.1mM)で増強した。また、ABCG2の発現(細胞膜上)レベルが多い細胞株ほど、PDT効果は低い傾向にあった。GefitinibのABCG2阻害の機序としては、細胞膜上の蛋白発現の減少、およびmRNAレベルの低下が関与していた。 【意義】5-ALA投与で生成されたPpIXは、活発に細胞外に排出されていた。Gefinitibには、これを阻害し、細胞内のPpIX濃度を高め、PDT効果を増強効果があることから、5-ALA PDTへのGefinitibの併用が有望である。
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