2011 Fiscal Year Annual Research Report
STAT1の機能解明を軸としたFGFによる骨格形成制御の分子機構の解析
Project/Area Number |
22791363
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮岡 佑一郎 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (20549521)
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Keywords | Fgf / STAT1 / 骨格形成 / Cfr / ERK / 顎形成 / Fgf18 / ゴルジ体 |
Research Abstract |
FGFシグナルは骨格形成に必須の役割を果たしている。FGFの下流では主にSTAT1とERKがシグナルを伝達している。しかし、ERKに比較してSTAT1の果たす役割には未知な点が多い。そこで、骨格形成において中心的な役割を果たすFGFであるFGFl8のノックアウト(KO)マウスとSTAT1 KOマウスを交配し、STAT1に特異的な機能を明らかにすることを試みた。FGF18の単独KOマウスは顕著な骨格形成異常を示し、出生直後に死亡する。一方、STATlの単独KOマウスは骨格形成に顕著な異常は認められない。交配により、FGF18 KO;STAT1ヘテロもしくはダブルKOマウスで下顎の形成が著しく阻害されている個体が観察された。この表現型はFGF18単独KOマウスでは観察されないため、STATl特異的な機能が下顎骨の発生に重要であることを示唆している。 我々は膜蛋白質であるCfrが、FGF18に結合してFGF受容体を介したシグナルを強めていることを発表している。しかし、Cfrはゴルジ体蛋白質であるという報告や、ゴルジ体や小胞体などでFGF受容体が異所的に活性を持つとSTAT1が強く活性化されるという報告もある。そこで、Cfrの様々な変異体を作製し、その細胞内局在とFGFシグナルにおける機能の関連を解析したところ、Cfrは細胞表面でFGF18に結合し、そのシグナルを強めていることが明らかになった。さらに、Cfrの膜貫通領域と細胞内領域がゴルジ体への局在に必要十分であり、膜近傍の細胞外領域がCfrの細胞表面での安定性を制御していることを明らかにした。このようなCfrの細胞内局在の制御により、STAT1の活性を適切に調節していると考えられる。
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