2010 Fiscal Year Annual Research Report
RANKLリバース・シグナル阻害による骨粗鬆症治療の可能性検証
Project/Area Number |
22791364
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本間 雅 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60401072)
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Keywords | シグナル伝達 / 発現制御 / 生体分子 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / RANKL / 双方向シグナル / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
生体における骨吸収レベルを中心的に制御するRANKL-RANKシグナル伝達経路において、シグナル入力強度を決定する主要因であるにも関わらず、RANKLの細胞内挙動とその制御機構には不明な点が多かった。申請者らはこの点に着目した分子論的研究を進め、RANKLはRANKと結合して破骨前駆細胞に対してシグナルを入力するのみではなく、同時に骨芽細胞内にもリバース・シグナルを発生し、細胞内の分泌型リソソームに蓄積されているRANKL分子の、細胞膜表面への放出をトリガーすることなどを見出してきた。申請者らが新規に見出した、このシグナル伝達経路に関与する分子群を同定すると共に、シグナル伝達を阻害した場合の影響を生体レベルで評価することによって、RANKLリバース・シグナル伝達経路が骨粗鬆症に対する新規治療標的となり得るかを検証することが、本研究の目的である。平成22年度の検討では、RANKLのリバース・シグナルがトリガーされる過程において、まずRANKL細胞内ドメインに、Grb2が結合する可能性が示唆された。実際、siRNAを用いてGrb2の発現を抑制した際には、RANKビーズによる刺激を行った際のRANKL放出が低下することが示された。さらにGrb2の下流でPLD2の活性化が生じ、細胞膜上のビーズ接触面近傍においてPAの産生が生じていることも、FRETプローブを用いた検討から明らかになった。さらに、PAをメディウム中に添加する刺激のみによってmTORC1およびmTORC2の活性化が生じることが明らかとなった。さらに、mTORC2の下流でRac1/Cdc42の活性化が生じていることも明らかになり、これら低分子量Gタンパク質の活性化が仲介タンパク質IQGAP1の接触面へのリクルートを刺激し、微小管プラス端結合因子CLIP170とIQGAP1との相互作用を介して、微小管の足場が構築されると考えられた。これら一連の結果に関しては、現在論文投稿の準備中である。これらの結果を踏まえ、平成23年度では、より詳細な検討を加え、RANKLリバース・シグナルが新たな創薬標的になりうるかを検証していく。
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Research Products
(4 results)