2011 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎椎間板疾患の病態解明に立脚した新規治療法の確立
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22791365
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
関 庄二 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (00432112)
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Keywords | CILP / 腰椎椎間板変性 / トランスジェニックマウス / 椎間板変性モデル / MRI |
Research Abstract |
研究の目的:CILPトランスジェニックマウス(以下Tgマウス)を作成し、表現型の解析やin vivoにおけるCILPの役割を詳細に検討することで腰椎椎間板ヘルニア、椎間板変性の発症メカニズムの一端を解明したいと考える。 方法:CILPTgマウスの作成の方法は、軟骨特異的発現ベクターpNASSβ・(COL11A2promoter、IVS1)を用い、このベクターにCILP遺伝子(C末にHA tagを挿入)を導入しマイクロインジェクションによってTgマウスを作成する。またこのTgマウスを用い、表現型を解析する。 結果:CILPTgマウスのlineの維持および繁殖 遺伝子導入はPCR、mRNAはreal-time PCR法で確認し、CILP蛋白の発現解析は、HA抗体、N末、C末抗体の3種類使用し、これらでウエスタンブロット、免疫染色でTgマウスにおけるCILP蛋白の発現を確認できた。 CILPTgマウスのMRI評価 作成した各系統間ごとに脊椎椎間板をMRIで評価すると、Tgマウスの腰椎MRIT2強調画像において、腰椎椎間板の輝度はノーマルマウスと比べて低下していたことから、明らかな椎間板変性の進行が認められたと考えられる。 CILPTgマウスの組織学的評価 椎間板の構造(髄核、線維輪)を、組織学的に確認すると、サフラニン-染色にて髄核組織の染色性が有意にTgマウス群で低下していた。また各系統間のTgマウスとノーマルマウスで、腰椎レントゲン上の椎間板高の違いを有意に認めた。 CILP Tgマウスの頸椎椎間板変性、ヘルニアモデルの作成 マウスの頚椎に不安定性を導入すると頚椎椎間板変性、ヘルニアができることがわかっており、このモデルで、変性誘導後の頚椎椎間板が、各系統でどのように変性度合いが違うか評価した。すると有意にTgマウス群で椎間板変性が低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
通常通りの予定で、研究は進んでいる。理由はマウスの交配が順調にすすんでおり、導入した遺伝子が、着実に子孫に受け継がれており、同時に蛋白レベルでの発現も認められていることから、予定通りに進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに機能解析を中心に進めていきたいと考えている。具体的には、(1)CILP Tgマウスのosteoarthritis(以下OA)モデル作成し、CILP遺伝子がOAに与える影響を検討していきたい。(2)CILP Tgマウスの椎間板で抑制されているTGF-Bシグナルを亢進させるため、徐方化TGF-Bを椎間板内に投与し椎間板の組織学的検討を行うことや、TGF-6receptorの発現を亢進させるためTGF-Breceptor(typeII)のベクター投与も検討したい。同時にプロテオグリカン、コラーゲン合成能の評価も行っていきたい。
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