2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791373
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
里中 東彦 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (60515485)
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Keywords | 腱細胞 / 光線療法 / キセノンストロボ光 / I型コラーゲン / 腱特異的タンパク |
Research Abstract |
強靱結合組織である腱は栄養血管が乏しく,細胞密度の低い組織であるため,一旦損傷されると機能的,生体力学的に十分に再生させることは困難である.損傷腱の治療においてより高い組織再生修復効果を得るために,損傷腱修復促進の戦略の1つとして腱細胞の増殖が考えられ,まずはキセノンフラッシュ光照射を用いた光線療法による腱細胞の増殖能をin vitro実験にて検討した.ラットアキレス腱から腱細胞を分離培養した後,蛍光免疫染色によりI型コラーゲンの発現を観察した.その腱細胞を使用して,光照射なし(C)群,10分間の光照射×1日(IR-10)群,10分間の光照射×4日(IR-40)群の3群で,初回光照射後8,24,48,72時間でMTS法により細胞増殖率を検討した.また光照射なし(C)群,1分間の光照射(IR-1)群,10分間の光照射(IR-10)群の3群で,光照射後72時間の培養上清中のscleraxisをWestern blottingにより半定量的に解析した.光照射にはキセノンストロボ光照射装置を用いた.蛍光免疫染色ではほぼすべての細胞でI型コラーゲンの産生が確認された.IR-40群の細胞増殖率は48時間以降でC群に比較して有意に高くなっていた(p<0.01).IR-10群とC群ではIR-10群で高い傾向にあったが有意差は認められなかった.またscleraxisはIR-1群,IR-10群ともC群に比較して強く発現しており,特にIR-10群では顕著であった.今回の結果から,腱細胞の増殖においてキセノンストロボ光照射が有効である可能性が示唆された.今後,各種コラーゲン産生の定量化やin vivo実験などによる更なる検討が必要であると考える.
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