2010 Fiscal Year Annual Research Report
椎間板バイオマテリアルの開発-椎間板変性に対する革新的治療戦略に向けて-
Project/Area Number |
22791374
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
明田 浩司 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20422826)
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Keywords | 椎間板変性 / プロテオグリカン / グリコサミノグリカ / 生体材料 / 糖鎖 / 成長因子 / 血小板 / 家兎 |
Research Abstract |
椎間板組織では髄核細胞が産生する高分子プロテオグリカン(アグリカン)がヒアルロン酸と連結しながら、コラーゲン線維の間を埋め尽くすように存在している。アグリカンにはコンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸などの高い硫酸化率を有するグリコサミノグリカン(GAG)が結合し、組織の飽水能および弾力性に寄与している。一方、変性した椎間板では、椎間板組織内のプロテオグリカンは分解され、飽水能および成長因子結合能が低下している。これに対し、我々はGAG構造を模倣した糖鎖高分子である硫酸化ジェランに注目しており、新規椎間板バイオマテリアルとして工学部と共同開発してきた。本研究では、ターゲット部位への注入を可能にしたインジェクタブル硫酸化ジェラン(IGS)の有用性を検討し、家兎椎間板内に注入されたIGSの組織親和性を評価した。NZW (New Zealand White)種7羽を用いて、椎間板(L2/3, L4/5)を18G針にて穿刺した。穿刺後、40℃に保温されたIGSをL2/3, L4/5椎間板内に注入した。L3/4は無穿刺群とした。術後2週毎にレントゲン撮影し,椎間板高を計測した.手術後4週で屠殺し、組織学的評価を行った。対照群は椎間板穿刺のみとした。40℃に保温したIGSは椎間板内に注入され、生体内でゲル化することが確認された。X線学的検討では、対照群では経時的に椎間板高の狭小化(4週後:73%)を認めたが、IGS群では穿刺後4週で椎間板高は術前の82%に維持されていた。組織学的検討では、椎間板内に注入されたIGSは髄核および内側線維輪組織に分布しており、細胞外基質問に浸潤するように存在していた。また、椎間板内への炎症細胞浸潤は認めなかった。今回の結果より、家兎椎間板内に注入されたIGSは生体内でゲル化し椎間板高の維持に働き、椎間板組織と良好な組織親和性を有することが示された。
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