2010 Fiscal Year Annual Research Report
胚様体形成を介さないマウスiPS細胞の骨分化誘導法の確立と骨再生への応用
Project/Area Number |
22791379
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
李 相亮 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (40533732)
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Keywords | マウスiPS細胞 / 骨分化誘導 / 骨再生 / 偽関節 / 胚葉体 |
Research Abstract |
一般的に骨折患者においては、保存的治療や外科的治療を行うことで、骨癒合が得られて治癒する。しかし、全体の骨折の5-10%は治療後6-9ヶ月を経過しても骨癒合が得られずに難治性骨折・偽関節に陥り、著しいQOLの低下を招き、治療に難渋し、患者に精神的肉体的苦痛をもたらし、後遺症に苦しむことも少なくない。近年、そのような骨折の治療法として、骨髄由来の間葉系幹細胞を用いた骨再生療法が注目されている。しかし、骨髄採取の侵襲性や加齢による活性低下が問題であり、その効果は必ずしも満足のいく結果は得られていない。一方、2006年に京都大学の山中教授らは人工多能生幹細胞(induced pluripotent stem cells : iPS細胞)を線維芽細胞より作成することを成功し、より効果的でリスクの少ない細胞資源であるiPS細胞の再生医療への応用が期待されている。本研究の目的は、マウスiPS細胞を用い、従来の培養系とは異なる「胚様体形成を介さない」培養系で骨分化誘導を行い、骨再生能力を検討することである。平成22年度の研究では、生体外において、マウスiPS細胞が胚様体形成を介さずに効率よく骨分化する培養系を開発した。平成23年度には、平成22年度に得られた培養系を元に体外で分化させた骨芽様細胞の性状に関する検討を詳細に行い、従来の胚様体形成を介する培養系との骨分化能を比較検討し、それぞれの培養系の特性についての評価を行う予定である。さらに、ラットの偽関節モデルを用い、胚様体形成を介さない培養系で確立された骨芽様細胞を偽関節部に移植し、その生体内での骨再生能ついて重点的に検討する予定である。
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