2011 Fiscal Year Annual Research Report
椎間板髄核細胞のアポトーシスを誘発する遺伝子シグナル伝達の解明
Project/Area Number |
22791380
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前野 耕一郎 神戸大学, 医学研究科, 助教 (70403269)
|
Keywords | 椎間板 / FasL / Fas / アポトーシス / シグナル伝達 / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
FasLは外界からの他因子の侵入を能動的に防御する、いわゆる「免疫学的特権」に関与するタンパクであると考えられている。我々はこのFasLに注目して下記実験を行った。交付申請書に記載した通り、ヒト椎間板髄核細胞の不死化細胞株(Cell line)は、作成元である東海大学整形外科教室に一部を譲渡して頂いている。この細胞株にelectroporation法を用いたヒト由来FasL遺伝子の導入を行い、Western blottingによりタンパクレベルでのFasL過剰発現を確認した。一方でsiRNAを用いたFasLのノックダウンも検討したが、ヒト由来のFasLにノックダウン効率の高い配列を見い出すことができなかったため断念した。続いてFas過剰発現を行ったヒト椎間板髄核細胞のcell lineとヒトマクロファージのcell lineを、両面から別々の細胞同士が接触可能な0.4μm poreのポリエステル膜にそれぞれ接着共培養させた。共培養開始後12時間後にそれぞれの細胞を回収し、real time RT-PCR法によってIL6、IL-1β、TNF-αの3種類の炎症性サイトカインの発現を評価した。その結果、共培養開始後12時間ではIL-1βおよびTNF-αが、24時間ではIL-6がそれぞれコントロール群に対して有意に増大していた。さらに共培養下ではADAM10と呼ばれるタンパク質の発現増大がみられており、一連の炎症反応イニシエーターとして働いている可能性が示唆された。FasLは細胞アポトーシスに関与する遺伝子としてよく知られているものの、炎症反応への関与についてはあまりよく知られていない。本研究の主な目的は椎間板髄核細胞のアポトーシスを誘発する遺伝子シグナル経路の解明であるが、その過程において我々が注目したFasLがアポトーシスのみならず炎症反応に大きく関与している可能性が考えられた。
|