2010 Fiscal Year Annual Research Report
前駆破骨細胞のL-セリン感知・応答機構と骨髄微小環境における生理的重要性の検証
Project/Area Number |
22791382
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 拓哉 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (30457147)
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Keywords | L-セリン / 破骨細胞 / 分化 / アミノ酸飢餓ストレス |
Research Abstract |
前駆破骨細胞は分化に際し、非必須アミノ酸L-セリン(Ser)を必須因子としている。本申請ではSerの破骨細胞分化における作用機構の解明と、この現象の持つ生体内での生理的意義について理解を深めることを目指した。本年度は以下の成果を得た。 1)Ser飢餓によるアミノ酸感知・応答経路への影響 Ser飢餓によりmTORC1経路、GCN2-eIF2alpha経路の両アミノ酸感知シグナル経路の活性に変化が見られ、Serのみの欠乏でアミノ酸飢餓ストレスが引き起こされていることが分かった。また、これまで注目していたRANKの発現に加え、c-FmsにもSer飢餓条件下での発現低下を見出した。 2)前駆破骨細胞・骨芽細胞におけるL-セリン合成系・輸送系の評価 骨芽細胞は前駆破骨細胞に比べてSer合成系の各酵素(PHGDH,PSAT-1,PSPH)を強く発現していることが分かった。また前駆破骨細胞では中性アミノ酸輸送系としてASCT2、LAT2の発現が認められたのに対し、骨芽細胞ではASCT1、LAT1の発現が優位であった。さらに輸送系ASCの阻害剤を作用させたところ、前駆破骨細胞へのSerの取り込みおよび破骨細胞への分化が抑制されることが分かった。 3)骨芽細胞・前駆破骨細胞特異的de novo Ser合成能欠損マウスの作成 骨芽細胞が、前駆破骨細胞に対する骨髄局所でのSerの供給源である可能性について検証するため、現在、骨芽細胞または前駆破骨細胞特異的にde novo Ser合成系酵素PHGDH遺伝子を欠損するコンディショナルノックアウトマウスについて、それぞれ必要となるCreマウス、Floxedマウスを入手し、作成中である。
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