2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄脂肪組織-骨芽細胞相互作用と脂肪組織由来間葉系幹細胞の増殖・分化機構の解明
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22791387
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
内橋 和芳 佐賀大学, 医学部, 助教 (60452835)
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Keywords | 骨髄脂肪 / 骨芽細胞 / 間葉系幹細胞 / 細胞増殖 / 細胞分化 |
Research Abstract |
ヒト骨髄脂肪組織(Bone marrow adipose tissue : BMAr)の単独培養では、以下の知見が得られた。 1.BMATの中心部では、3週まで成熟脂肪細胞および造血細胞が保持され、辺縁部では、紡錘形のBone marrow stromal cell (BMSC)が出現した。このBMSCのうち、CD105/CD44共陽性の間葉系幹細胞が2.8%、脂肪滴を有する前脂肪細胞が0.75%含まれていた。 3.BMAT内に含まれるCD45陽性の白血球(B・Tリンパ球、マクロファージ)にBrdUの取り込みが見られた。一方成熟脂肪細胞の核には陽性所見は認めなかった。BMAT辺縁部では、脂肪滴を有しないBMSCの約3%にBrdUの取り込みが見られた。前脂肪細胞にBrdUの取り込みはなかった。 4.デキサメサゾンの投与により、BMSCに占める前脂肪細胞の割合が32%に増加した。インスリンでは増加しなかった。全体のBMSCの数に変化はなかった。 5.各種因子(Dexamethasone, Insulin, TNF-α, LPS)の投与におけるアディポカイン分泌を検討したところ、アディポネクチンの分泌はすべての条件で0.8ng/ml以下と低値であった。レプチン分泌は、デキサメサゾンとインスリンで増加した。 BMATと骨芽細胞との混合培養では、BMSCの新生が有意に抑制された。アディポネクチン分泌は単独培養同様に低値で、有意差を認めなかった。レプチンは骨芽細胞との混合培養で有意に低下した。 骨芽細胞の増殖は、BMATとの混合培養により有意差に減少した。骨芽細胞分化マーカーはいずれも著明に低下した。 今回の実験では、骨髄内で隣接して存在する成熟脂肪細胞に富んだ脂肪組織と骨芽細胞との液性因子を介した直接的な相互作用を検討した。その結果、互いの増殖、分化を抑制していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)