2011 Fiscal Year Annual Research Report
尾部退行症候群を示すSd変異マウスの分子メカニズムの解析
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22791388
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
仙波 圭 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 特定事業研究員 (00398190)
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Keywords | Danforth's short tail / 脊椎欠損 / transposon / ノックアウ / ノックイン / lacZ / ES細胞 |
Research Abstract |
実験1.Sd候補遺伝子を適正に破壊できたと考えられるSd-ES細胞よりノックアウトマウスを作出した。作出されたSd候補遺伝子破壊マウスの表現型を検討したところ、ゲノム変異を持っているにも関わらず、Sd変異マウスの表現型である脊椎欠損、鎖肛、腎臓欠損が消失していた。実験2.実験1.で得られたノックアウトされたSd-ESクローンのSd候補遺伝子に対してlacZノックインマウスを作出した。作出されたlacZノックインマウスを利用してSd候補遺伝子の発現をモニタリングしてみると、その発現は胚の脊索、cloaca、mesonephrosで主に検出された(正常発現組織は、膵臓の原基と神経管の一部である)。実験3.Sd変異マウスにおける脊椎発生異常における分子イベントを明確にするため、野生型,Sdホモ接合体の9.5,10.5,11.5日胚からRNAを抽出し、関連遺伝子群に対して定量RT-PCR法解析を行うことでCaudal regressionの病態を検討した。実験4.Sd変異マウスの表現型に関係する分子の同定のため、E10.0胚よりRNAを抽出し、アジレント社のアレイを利用した遺伝子発現プロファイリングを施行した。上記の研究成果よりSd候補遺伝子のノックアウトマウスの表現型を確認できた事で、Sd変異マウスの表現型の原因は、このSdゲノム変異の影響を受けたこのSd候補遺伝子であることを示すことが出来た。また、その候補遺伝子のlacZノックインマウスの作出によりSd候補遺伝子が胚発生時期の脊索、cloaca、mesonephrosで異所性発現することでSd変異マウスの表現型の原因となっていることを強く示唆する結果が得られた。上記研究成果による原因ゲノム変異/原因遺伝子の確定と機能解析は、脊椎疾患、脊椎発生の理解に貢献し、Sd変異マウスの表現型に相似するヒト疾患の原因や病態の糸口になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の2/3経過時点において、その研究の中心実験をほぼ実行することができ、現在、その研究成果をまとめ、盛り込んだ論文を投稿中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は、得られた成果である、脊椎欠損をきたすDanforth's short tail変異マウスの「原因ゲノム変異の同定」、「原因遺伝子の同定」、「その表現型に関係すると考えられる有力な分子メカニズムを同定」することができたことを発展させることである。具体的には、関係すると考えられる分子メカニズムを、RNA、蛋白レベルで直接分子間相互作用の詳細を示すことである。加えて、Danforth's short tail変異マウスの表現型と相似するヒト疾患:尾部退行症候群(caudal regression syndrome)の発症原因をゲノムレベルで同定することに繋げたい。そのためには、関係すると考えられるヒト疾患症例の収集の必要性が高くなるため、関係部署への連携を密にする計画である。
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Research Products
(5 results)