2010 Fiscal Year Annual Research Report
特発性大腿骨頭壊死症発生における自然免疫シグナリングの役割
Project/Area Number |
22791390
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
岡崎 俊一郎 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70404647)
|
Keywords | 特発性大腿骨頭壊死症 / ステロイド性大腿骨頭壊死症 / アルコール性大腿骨頭壊死症 / 動物モデル / 自然免疫機構 |
Research Abstract |
平成22年度研究実施計画に基づき、以下の研究を行った。 (1)ステロイド性大腿骨頭壊死症動物モデルの再現性確認 2009年に我々が報告した、LPSおよびメチルプレドニゾロン投与によって、大腿骨頭壊死症が発生することの再現性の確認を行った。その結果、再現性が確認され、本モデルがステロイド性大腿骨頭壊死症動物モデルであることが確認できた。 (2)ステロイド性大腿骨頭壊死症の発生における荷重の役割の解明 大腿骨頭壊死症動物モデルにおいて、大腿骨頭の圧潰の報告はない。その原因は、ヒトと動物モデルの股関節における荷重の相違であると考えられ、動物モデルの妥当性が問題となっている。しかしながら、大腿骨頭壊死症の発生における荷重の影響に関する報告も認めない。よって、後肢懸垂動物モデルを用いてその影響を明らかとした。今回の結果から、ステロイド性大腿骨頭壊死症の発生に荷重は影響を与えないことが明らかとなり、ラットモデルが機序解明に有用であることが明らかとなった。論文投稿中である。 (3)アルコール性大腿骨頭壊死動物モデル作製 過去にアルコール性大腿骨頭壊死症動物モデルの報告はなく、発生機序や時期は明らかとなっていない。今回、アルコール性大腿骨頭壊死症患者にはアルコール性肝障害の合併が多いことに着目し、アルコール性肝障害を引き起こす、Lieber DeCarli liquid diet法を用いて、作製を試みた。その結果、アルコール液体飼料投与後1週より、大腿骨頭壊死症の発生が確認できた。従来から、長期飲酒により発生すると考えられてきたアルコール性大腿骨頭壊死症は、集中的な飲酒によって発生する可能性が示唆され、臨床での、発生時期解明に繋がる結果と考えられた。論文投稿中である。 ステロイド性、アルコール性大腿骨頭壊死症動物モデルが確立されたことにより、特発性大腿骨頭壊死症の発生にはtoll-like receptorを介する自然免疫機構の関与が示唆され、次年度の研究課題となった。
|