2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルデヒド脱水素酵素遺伝子の変異による骨代謝の恒常性破綻機構の解明
Project/Area Number |
22791396
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
星 淡子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50399812)
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Keywords | 骨代謝 / アルコール分解酵素 / 骨芽細胞 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)はアルコール代謝の主経路で働く重要な酵素であり、日本人の約半数がALDH2酵素遺伝子に変異(dn-ALDH2)を有している。dn-ALDH2型の人の骨は骨粗鬆症のリスクが上がることが報告されているが、ALDH2遺伝子変異と骨粗鬆症との関連性やその分子メカニズムについては解明されていない。本申請研究では、ドミナントネガティブ型ALDH2遺伝子変異モデルマウス(ALDH2-DAL)を用い、遺伝子の変異と骨粗鬆症との関係についてin vivo及びin vitroの両面から検討する。本年度の研究で、ALDH2-DALの大腿骨及び脛骨は野生型マウスの骨と比較して骨密度の有意な低下を確認すると共に、皮質骨、骨梁幅、石灰化速度が有意に低下していることを骨形態計測の結果により明らかにした。また、ALDH2-DALの骨芽細胞の分化形成能は野生型と比較して著しく低下することをRT-PCRや細胞染色によって示した。そこで、骨形成能低下をもたらす原因分子について検討した結果、アセトアルデヒドと過酸化脂質である、ヒドロキシノネナール(4HNEが血中や骨髄ならびに骨芽細胞内に過剰に蓄積していることを明らかにした。更に、骨芽細胞における原因分子のシグナル伝達経路を検討した結果、MAPKsの発現が著しく変化していることを確認した。次年度はこれまでの結果に基づき、遺伝子変異によって起こる骨粗鬆症の分子メカニズムの完全な解明を行なうと共に、骨形成能の低下をレスキューできる薬剤を探索し、遺伝子変異型マウス及びヒトのサンプルを用いて骨芽細胞形成能の効果を検討し、最終的に骨粗鬆症の予防や治療への応用を目指す。
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