2011 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷における自己修復機構の解明ー内在性シュワン細胞の寄与ー
Project/Area Number |
22791398
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
名越 慈人 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10383837)
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Keywords | 脊髄損傷 / シュワン細胞 / 脱分化 / 再分化 / 髄鞘化 |
Research Abstract |
本研究では、神経堤由来の細胞を標識するトランスジェニックマウス(PO-Cre/Floxed-EGFP)に脊髄損傷モデルを作成し、損傷脊髄内におけるシュワン細胞の動態を評価することが目的である。平成22年度までの研究から、PO-Creマウスの脊髄切断モデル作成後に、GFP陽性細胞が損傷内部へ流入してくることが分かったため、その細胞の特性を同定する研究を平成23年度に進めた。侵入するGFP陽性細胞のほとんどはシュワン細胞であった。.脊髄損傷後に、損傷部に隣接する神経根の中で、PO陽性の成熟シュワン細胞がp75陽性の未熟なシュワン細胞へ脱分化し、その未分化性を保ったまま損傷部へ侵入してくることが分かった。侵入するシュワン細胞は脱分化の際に発現するc-Junが陽性であり、シュワン細胞の脱分化をさらに細くするデータとなった。また、侵入するシュワン細胞は、細胞分裂マーカーであるBrdUおよびKi67陽性であり、分裂しながら損傷脊髄部へ流入してくることも分かった。侵入したシュワン細胞はその後、p75の発現が低下し、逆にPO陽性細胞の割合が増加していくことが分かった。すなわち、経時的にPO陽性の成熟シュワン細胞へ再分化することが明らかになった。再分化したシュワン細胞の役割を明らかにするために、組織学的評価をさらに進めた。すると、PO陽性GFP陽性の成熟シュワン細胞が損傷脊髄内でRT97陽性の軸索を髄鞘化しており、残存する神経軸索を髄鞘化して保護する役割があることが分かった。さらに電子顕微鏡を用いて観察すると、GFP陽性のシュワン細胞がその髄症の特徴であるラメラ構造を保持していることが明らかとなり、損傷脊髄における修復機構の1つとして、シュワン細胞の脱分化/再分化の可塑性が関わっていることが示唆刺された。
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[Journal Article] Dysfunction of fibroblasts of extrarenal origin underlies renal fibrosis and renal anemia in mice2011
Author(s)
Asada N, Takase M, Nakamura J, Oguchi A, Asada M, Suzuki N, Yamamura KI, Nagoshi N, Shibata S, Rao TN, Fehling HJ, Fukatsu A, Minegishi N, Kita T, Kimura T, Okano H, Yamamoto M, Yanagita M
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Journal Title
J Clin Invest
Volume: 121
Pages: 3981-90
Peer Reviewed
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[Journal Article] Isolation and function of mouse tissue resident vascular precursors marked by myelin protein zero2011
Author(s)
Kubota Y, Takubo K, Hirashima M, Nagoshi N, Kishi K, Okuno Y, Nakamura-Ishizu A, Sano K, Murakami M, Ema M, Omatsu Y, Takahashi S, Nagasawa T, Shibuya M, Okano H, Suda T
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Journal Title
J Exp Med
Volume: 208
Pages: 949-60
Peer Reviewed
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