2010 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症に関連する尿濃縮の破綻機序解明とナトリウムを主体とした体液量維持療法の検討
Project/Area Number |
22791412
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
外山 裕章 東北大学, 病院, 助教 (00375007)
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Keywords | ナトリウム / アルドステロン / 副腎不全 / 循環血液量 |
Research Abstract |
ナトリウム・アルドステロンと循環血液量との関連を明らかにするため、副腎不全ラット(ADX)、副腎不全生理食塩水飲水ラット(ADX-NS)、副腎不全アルドステロン補充ラット(ADX-Ald)、偽手術ラット(Sham)を作成し、これらモデルの循環血液量の検討を行った。また、各モデルに腹膜炎による敗血症を誘発し、敗血症誘発前後の循環血液量の変化も検討した。循環血液量の測定はエバンスブルー色素を利用した色素希釈法を用いた。敗血症誘発前の単位体重あたりの循環血液量はADX 61.7ml/kg、ADX-NS 63.1ml/kg、ADX-Ald 74.1ml/kg、Sham 65.8ml/kgであった。副腎不全では循環血液量が減少し、生理食塩水の飲水により若干の循環血液量増加効果を認めた。アルドステロンの生理的用量補充により循環血液量は過剰となり、グルココルチコイドによるミネラルコルチコイド作用の抑制が無い状態ではアルドステロンの作用が過剰に出現してしまう事が示された。敗血症誘発後はADX 57.0ml/kg、ADX-NS 56.4ml/kg、ADX-Ald 65.2ml/kg、Sham 62.9ml/kgであった。敗血症による血管外への血漿の漏出による循環血液量減少は、ADX 4.7ml/kg、ADX-NS 6.7ml/kg、ADX-Ald 8.9ml/kg、Sham 2.9ml/kgであった。ナトリウムによる循環血液量増加作用は敗血症状態では有効ではなく、アルドステロン補充は血漿漏出を抑制できないものの、循環血液量自体は正常に維持していた。
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