2010 Fiscal Year Annual Research Report
視覚刺激を利用した疼痛に対する注意の定量化と脳機能イメージによるメカニズム解明
Project/Area Number |
22791420
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
住谷 昌彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80420420)
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Keywords | 線運動錯視 / 疼痛 / 左右偏位 / 定量化 |
Research Abstract |
疼痛の知覚は体性感覚刺激の物理量だけでなく様々な認知機能の影響を受ける。本研究では疼痛知覚に影響を与える認知機能のうち最も影響の大きい"注意"機構に着目し、これまで我々は視覚と疼痛の相互作用を明らかにしてきたことから痛みに対する"注意"を視覚情報の錯覚性認知を利用して定量化する方法の開発とその大脳メカニズムを解明することを目的としている。 Illusory line motion(線運動錯視)と呼ばれる視覚刺激の錯覚性認知を利用した左右半空間に分布する"注意"の評価方法を定量化する方法の開発を行った。 17inchビデオモニターの正中に2cm×2cmの固視点と、固視点から10cm上方で左右15cm外側に直径1cmのcueを2個表示する。続いて左あるいは右のcueの一方が消えてから0ミリ秒,33ミリ秒,66ミリ秒,100ミリ秒,150ミリ秒,200ミリ秒,300ミリ秒の間隔(cue lead time)を空けて両cueがあった場所を結ぶ幅1cmの直線を提示する。被験者には、その直線が左あるいは右のいずれから線が引かれたように感じたかを左右のいずれかで回答させた。右と回答した確率とcue lead timeの関係性をプロビット解析によってシグモイド関数として表現し、右回答確率50%の際のcue lead timeの偏位を"注意"の偏位として定量化した。 左右四肢のいずれかに疼痛を持つ患者を対象に本方法を用いて、慢性疼痛に対する"注意"の定量化を行った。さらに、左あるいは右の四肢に対する電気刺激を外来的に与えることによって、その"注意"の偏位の方向と大きさを操作した。
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