2011 Fiscal Year Annual Research Report
周術期使用薬剤が細胞の酸素代謝に及ぼす影響の細胞生物学・分子生物学的解析
Project/Area Number |
22791428
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高淵 聡史 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (90402841)
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Keywords | 薬理学 / 麻酔薬 / 低酸素応答 / 細胞生物学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
周術期における患者管理の要諦は、麻酔技術を駆使して手術侵襲を受ける生体のホメオスターシス、とくに細胞レベルにおける酸素需給バランス、すなわちエネルギー需給バランスを保つことにある。この観点に立ち、低酸素誘導性転写因子1(Hypoxia-Inducible Factor 1, HIF-1)を介した遺伝子発現、糖代謝におけるエネルギー需給バランス、細胞の酸素代謝の三者の相互関係について培養細胞、臓器を用いて周術期使用薬剤の影響を検討し、よりよい周術期管理法の開発のための基礎的なデータを得ることが本課題の目的である。 初年度確立した細胞の酸素消費量測定系,低酸素誘導性因子1活性化をレポータープラスミドを安定的に組み込んだ樹立培養細胞を用いて今年度は以下の研究結果を得た。 マウス膵ベータ細胞由来の樹立細胞株MIN6は,細胞外液のグルコース濃度の上昇に反応してインスリンを細胞外へ分泌する性質を持つ。高グルコース暴露は,インスリン分泌を促し,細胞内酸素消費量の増大,細胞内低酸素を誘導してHIF-1の活性化をもたらす。この反応を揮発性吸入麻酔薬イソフルレンとセボフルレンは用量依存的に抑制すること,さらにミダゾラム,プロポフォールにはこの抑制作用は見られないがデクスメデトミジンには臨床使用濃度で有意な抑制作用が観察されることを見いだした。 またフェンタニル,塩酸モルヒネ,レミフェンタニルがオピオイド受容体依存的にHIF-1の活性化を20%酸素環境下でももたらす事を見いだして成果を公刊した。
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Research Products
(2 results)