2011 Fiscal Year Annual Research Report
オキシコドンによるμオピオイド受容体細胞内動態と鎮痛効果の連関の解明
Project/Area Number |
22791432
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
橋本 龍也 島根大学, 医学部, 講師 (00372681)
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Keywords | オキシコドン / 体性痛 / 内臓痛 / μオピオイド受容体 / 受容体細胞内陥入 |
Research Abstract |
本研究は、μオピオイド作動薬であるオキシコドンの抗侵害受容効果とin vivoにおけるμオピオイド受容体の細胞内動態の関係を解明することを目的とし、雄性ラット(Sprague-Dawley)を用いて行った。オキシコドンの投与方法は髄腔内投与とし、抗侵害受容効果は体性痛と内臓痛に分けて検討した。体性痛に対する疼痛閾値の測定はtail flick試験を用いて、内臓痛に対する疼痛閾値の測定はcolorectal distension試験を用いて行った。抗侵害受容効果は、percent maximum possible effect (%MPE)で評価した。また、μオピオイド受容体の細胞内動態は、体性痛、内臓痛ともに十分な抗侵害受容効果を発現している薬剤投与10分後の時点において、ラットから切り出した脊髄を用いて免疫組織化学染色を行い、μオピオイド受容体が細胞内陥入を起こしている割合で評価した。 抗侵害受容効果は、オキシコドン200μg投与10分後において、体性痛、内臓痛ともに100%MPEであった。オキシコドン2μg投与10分後では、体性痛は44.5%MPE、内臓痛は22.8%MPEであった。次に、μオピオイド受容体が細胞内陥入を起こしている割合は、200μg投与10分後で67.5%、2μg投与10分後では8.8%であった。なお、生理食塩水投与10分後では8.0%であった。 以上のことから、オキシコドンは髄腔内投与によって抗侵害受容効果とともにμオピオイド受容体の細胞内陥入を生じさせることがin vivoにおいて初めて示された。また、これまでの研究結果とあわせて、μオピオイド作動薬は各々異なった受容体の細胞内動態を示すことが明らかとなった。μオピオイドによる鎮痛効果と受容体細胞内動態の連関をより明らかにするために、他のオピオイド作動薬による検討が必要である。
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