2010 Fiscal Year Annual Research Report
痛み認知に対する社会的修飾メカニズムの神経基盤の研究
Project/Area Number |
22791438
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大迫 洋治 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (40335922)
|
Keywords | 痛み / 社会的ストレス / パートナーロス |
Research Abstract |
本研究は痛み認知に対する社会的修飾の脳内メカニズムを明らかにすることが目的である。22年度は、一夫一婦制を営む高社会性げっ歯類にパートナーロス(パートナーとの別離)を経験させることにより社会的ストレスを負荷し、社会的ストレス負荷後の情動の変化を行動学的に解析した。パートナーロス4日後におけるエマージェンステスト(不安レベルを評価する試験)において、パートナーロス群の方がシェルター(隠れ場)からの出現回数が有意に多かったが、パートナー維持群に比べてシュルターの近傍を探索する割合が多かった。この結果は、パートナーロス群は、周囲の環境が気になるにもかかわらず、安全な場所から離れることができない状態にあると解釈できる。すなわち、パートナーロス群の不安レベルが上昇していることを示唆していると考える。オープンフィールド試験では行動学的違いが検出できなかったが、今回用いたオープンフィールドが不安を惹起するのに不十分であったことが考えられる。オープンフィールドをもっと大きくして再評価を行う。また、うつ状態を評価するため、強制水泳試験と尾懸垂試験を行ったが、いずれの試験についてもパートナー維持群とロス群間において、有意な違いは検出できなかった。以上の結果は、パートナーロスによって、不安レベルが上昇し、うつ状態にはなっていないことが示唆された。本研究のパートナーロスモデルは、うつ状態にまで至っていない不安症の患者における疼痛障害を解析するモデルとなりうると考える。
|